芽々さんという名前の変な人は、何故か俺の隣を歩いている
……俺、コンビニに行きたかっただけなんだけど?
断ろうとした瞬間、手首を掴まれてそのまま引っ張られる
青い空、広がる緑……吹き抜ける風が爽やかな夏
ただ、限度ってもんがある
両腕を腰にあてて、わざとらしく頬を膨らます芽々さんはへばっている俺と対照的に、かなりのスピードで走ったのにも関わらず息一つ切らしていない
俺は肩で呼吸しながら反論する
……決めた。この夏は、ちゃんと運動しよう
これじゃあ、魂守村の次元に着いて行けねぇ……
そう言って芽々さんは歩き始めた
俺を気遣ってくれているのか、さっきよりゆったりした足取りだった
……割といい人なのかもな
そんなことを考えていると、一つの大きな建造物が見えてきた
ドーム型のアーチがかかったトンネルのような建物。その中に、沢山の小さな店が入っていた
俺は彼女の少し無責任な回答に呆れながら、商店街の中を見渡した
来たことはない筈なのに、何処か懐かしく、目に見えるものが全て新しい物のように思えた
芽々さんは商店街の丁度中心辺りにある一つの店を指差した
随分可愛らしい名前だなと思いながら店に入る
中は冷房が効いていてとても涼しい。まるで天国だ
どこからか顔を出したのは、ピンクゴールドの髪の少女だった。どうやら芽々さんの知り合いらしいが……
この人……っ!なに無責任なこと言って……!?
少女に呼ばれて厨房らしき所からプラチナゴールドというのだろうか?そういう色の髪を揺らす高身長イケメンが出てきた
彼は、チラリと俺の方を一瞥すると、はぁっと息を吐いた
自己紹介のついでに、芽々さんを指さして一応弁明をする
芽々さんに手招きされてカウンター席に腰をかける
芽々さんの前にコーヒーが置かれるのを眺めていると、コトンと自分の前にソーサーに乗ったカップが置かれた
お言葉に甘えてコーヒーを一口飲む
……あぁ、なんかこの空間落ち着くな
騒がしいけれど、何処か懐かしくて安心できる
いつの間にか二人にもイエモンという謎のあだ名が浸透していて、気づけば仲良くなっていた……解せぬ
その後を言いかけて、足を止める
それに合わせて彼女も止まって振り返る
その時の芽々さんは驚きの表情を浮かべていた
ニコリと微笑んだ彼女は、夏そのものを具現化したように爽やかで美しかった













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。