ある日の放課後。
突然、校舎裏に呼び出されて。
最初は、悪口とか暴言を吐かれた。
それが徐々にエスカレートし、
殴られたりするようになった。
理由もわからぬまま、
殴られるが続いた。
そんなある日、
現れた救世主。
それが、先輩の渡邉まほとさん。
校舎裏でぐったりしている俺を見つけて、
手当をしてくれた。
たったそれだけの事だったけど、
とても嬉しかった事を覚えている。
それに、まほとさんのおかげで、
いじめも軽くなりつつあった。
でも、少し寂しかった。
まほとさんからしたら、
俺はただの後輩。
この放課後少しの時間が無くなれば、
接点なんて何も無い。
どうすれば、この時間を無くさずに済む…?
苦痛だったはずのいじめが、
いつの間にか幸せの鍵となっている。
その事に、俺はまだ気付いていない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!