良平「あなた〜」
あなた『! りょうへい!』
俺の声に気づいて振り向いたあなたは、たったったっと勢いよくこちらへ走ってくる。
あなた『あいたかった!!!!!』
良平「はいはい笑」
今朝も会ったのに久しぶりに会ったような反応。
子供みたくぎゅっと抱きついて、頭を撫でるよう要求され、わしゃわしゃとヘアセットを崩す勢いで撫でるとプンプン怒られる。
あなた『せっかくあおちゃんたちがやってくれたのにぃ……』
良平「あははっ笑、ごめんごめん笑」
できる限り直そうと綺麗な黒髪に指を通す。
良平「ところでおじょうさん。」
あなた『? なんですか、おにいさん。』
良平「僕とデートしていただけませんか?」
***
喜んでという返事を無事ゲットし、仕事終わりのあなたを誘拐でもするかのように手をとって呼んであったタクシーに乗せる。
あなた『良平、どこ行くの?』
良平「まぁまぁ、すぐそこだから。」
あなた『?』
到着した場所は、とある海辺。
相変わらず繋いだままの手を引っ張って、夕方の砂浜へ誘導する。
あなた『ここって……、』
良平「そっ、俺らが初デートで来た場所。」
あなた『なんで今日ここに?』
良平「えーっとね、ん」
あなた『え!?』
差し出した箱には小さな指輪。
勿論既に婚約指輪も結婚指輪も渡してあるし、これはそれとは別物。
なんならショッピングモールに入っているジュエリーショップで買った割と安物。
良平「結婚してくれてありがとう。」
あなた『・・・・・は? 急に何言ってんの?』
良平「え、冷たくない?」
プロポーズみたいなことしたのに、冷たくない?
あなた『良平、頭大丈夫?』
良平「え、やっぱ酷くない?」
困惑しているのか、いつもより口が悪くなっている。
良平「今日、プロポーズの日だから、やったら?って、えぐちが……。」
あなた『へぇ、それで……』
受け取った指輪を付けて、両手を空に翳すように指輪を嬉しそうに眺める。
そんなあなたを見て、俺も思わず頬を緩めた。
あなた『ねぇ、』
良平「んー?」
あなた『結婚相手、ほんとに私で良かったの?』
良平「ばーか。お前しか考えられないの。」
何を今更、 と笑いながらツンツン頬をつつく。
良平「隣で笑ってなよ。奥さん。」
あなた『、ありがとう。旦那さん笑』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。