ある平日の朝のこと
「徹〜!お友達来てるから早く準備しなさい!」
そんなお母ちゃんの声で手の動かすのを早める
この時少し疑問に浮かんだのが『お友達』が来てる
いつもだったら『一君』なのに___
今日は少し天気が悪く、低気圧なのもあって、
その疑問は俺の頭からすぐ忘れ去られた
玄関へ行き靴を履いてドアを開ける
目の前には岩ちゃんではなくあなたの及川さんに呼ばれる名前が立っていた
俺は心の中で一瞬、目を見開いた
顔には出さないようにしていたのに…
この子に家を教えた覚えはない
それでも密かに『可愛いな〜』くらいは思っていた
そんな子が目の前にいて正直動揺している
岩ちゃんのことになるだけであなたの意味不明な行動なんて気にしなくなるのは自分でも単純だと思う
岩ちゃんの蹴り痛いんだよね…
いつもあなたの及川さんに呼ばれる名前には全部お見通し
俺のいるところには大体いるし…
まあ、知らない女の子じゃないだけまだいいし、
あなたの及川さんに呼ばれる名前ならまあ、嫌ではない、だけど…
しらばっくれる気だね…
他の人にしたら怖がられるだろう
誤魔化すの雑だな…なんてそんな事考えながら
走り出したあなたの隣を走る
なびく髪と横顔がとても綺麗なんて、
毎回惚れ惚れする
あなたの及川さんに呼ばれる名前が俺への想いが不安定なんて今更のこと
愛が重いのも、俺のこと何でも知っているのも
そのくせ、真っ直ぐ純粋な目だし…
もう全部受け入れて、俺のものになればいい
でもきっと手に入れてしまったら、この関係が崩れるだろう
もう少し、このままがいいから
俺はずるいなあ…












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。