コノーミカたちは、先生に導かれ真っ赤の大きな扉の前に辿り着いた。
ここはなんだろう、という生徒の疑問が混ざった沈黙が流れる。
「ここは、君たちがこれから過ごす寮、アロックス寮の入り口だこの寮には…」
ここから、この先生は10分ほど寮についての説明をする。
その内容を一言一句間違えずに教えても構わないのだが、
それでは、飽きてしまう人もいるだろうからここは私が要約して話そう。
まず、このフリカル魔法学校には三つの寮がある。
アロックス寮、スキリト寮、ドアラ寮だ。
初めにアロックス寮について。
アロックス寮は友情を重んじる寮で、
寮の色は赤。
友達想いの者、明るい性格のものが多い。
卒業生が多く活躍している一番人気の寮でもある。
次にスキリト寮について。
スキリト寮は血筋を重んじる寮で、
寮の色は白。
家柄が良いもの、身分が高い者が多い。
傲慢な者も多いが、天才も多い。
二番目に人気な寮だ。
最後にドアラ寮だ。
ドアラ寮は努力を重んじる寮で、
寮の色は緑。
定期テストなどでは彼らが上位になる。
おとなしめの子が多い。
しかし、力が全ての魔法界では、
卒業できてからは知識が意味をなさず、
人知れず消えていく人が多い。
最近ではこの寮に入っただけで愚か者扱いされるほど人気のない寮である。
ちなみに、ここにいる子供たちはアロックス寮である。
「ねえ、他の寮はどこにあるのかな」
コノーミカは先生の話を聞いて他の寮にも行ってみたいと思ったらしい。
「それは秘密なんです。昔、スキリトとドアラ寮が喧嘩になったことが
あるらしくて、それ以来、寮生が喧嘩しないようにと場所は隠されているらしいですよ」
「え、そうなの?でも、私お兄ちゃんに場所教えてもらったよ?」
「「え!?」」
心底不思議そうな顔をしているサラに心底驚いた声で二人は返す。
「じゃあ、今すぐ行こうよ!」
キラキラとした顔で言うコノーミカに対して
「いやいや、まだ施設の説明受けてませんから!先生がこっちみてますよ!」
とシリクがすかさずツッコミを入れる。
「やべっ」といったコノーミカは、二人に「じゃあ明日の朝行こう」と耳打ちして
先生の方へ視線を移した。
そして、二人も先生の方へと視線を移す。
三人の心の中はそれぞれ
(明日が楽しみ!早く明日にならないかな〜)
(兄から聞いた話が役に立つなんて!早く明日にならないかな〜)
(他の寮に行くなんて絶対ダメだ。どうやって二人を説得しよう…)
といった感じだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。