第16話

過去なんて唯の記憶
512
2020/08/30 13:40
(67話)
心操人使
久し振り…だな。
一学期の終業式以来だから…
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
9ヶ月振り。
心操人使
……
やっぱり計算速いな
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
そう?
心操人使
うん。
掴めない。距離感が、全く。






記憶も。
何度も思い出そうとするけど靄がずっと掛かってる。
どうして?

だんだんと混乱していく頭を冷やそうと
深呼吸を3回、
スー,ハー,スー,ハー,スー,ハー,
と繰り返す。
心操人使
いきなり…
ごめん。
どうやら、心操くんも私と同じで距離感が掴めない様子だ。
多分、記憶は飛んでない。
心操人使
高校で再会するとは思ってなかったな。
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
うん。
本当は、何も覚えていないのに、
覚えてる様にあしらう。
心操人使
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
お互いに、1分程だろうか。
沈黙が続いたあと、口を開いたのは心操くんだった。
心操人使
生きてて良かった。
思いも寄らない言葉に戸惑いを隠し切れず、
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
え?
と、やや気の抜けた返しをする。
心操人使
笹木の遺体が見付かったのと同じくらいの頃に居なくなったから、
心配で。
あ…
そうだった。
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
えっ!?
嘘を吐いた。
知らないフリ。一番の安全策。
心操人使
えっ!?って…
知らないのか?
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
うん。
笹木くんの遺体が見付かったの
っていつ頃?
心操人使
確か…
一学期の終業式の日。
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
あ…
私其れくらいから
親と進路の事で喧嘩してて
夏休みの最初の方に家出しちゃったの‪。
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
ニュースも見ないから知らなくて…
そういえば、最後にテレビを見たのっていつだっけ?
一人暮らしをしている私の部屋にはテレビはない。
どうせ見ないんだから、要らない。と買わなかった。
連合には……
確かあったけど、毒を調べたり受験勉強で、テレビを見る機会なんて無かったな…
心操人使
そうだったのか。
なぁ、1つ聞いて良いか?
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
? 良いよ。
心操人使
家出中どうやって生活してたんだ?
ほら…住む場所とか
日用品だとか、
中学生じゃバイトも出来ないし
不味い、
咄嗟に嘘を重ねるけれど、違和感が無いか心配になる。
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
近所の仲の良いお姉さんのお家に
泊まらせて貰ってた。
少し、ほんの少しだけ。
心臓の鼓動が加速するのを感じた。
心操人使
そうか。
あなた、人当たりの良い性格だもんな…
都合良く騙せて、
本当は悪い事なのに、安堵に胸を撫で下ろす。
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
う…うん。
相変わらず、私の声は少し怯えたまま。
心操人使
…じゃぁ、な。
そう言って手を振る心操くんに、
私も手を振り返す。
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
うん。
バイバイ。
ようやく会話が終わり、疲れがどっと来る。
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
ん"ん"…
伸びをして、リュックを背負い、階段を駆け上がった。
爆豪勝己
遅ーよ。
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
え?
爆豪くん!?
私が驚いていると後ろから、
三奈と切島くんも出てきた。
切島鋭児郎
よっ!
芦戸三奈
じーっくり聞かせて貰うからね!
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
ん?聞く?何を。
芦戸三奈
紫髪の人との関係!
堀酸(なまえ)
堀酸あなた
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
私の驚きの声が廊下に響いた。

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