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第8話

弱った羊くんの癒しは……


 この日、望は朝から元気がなく、授業中も眠っていた。

 顔色が悪く、今にも倒れてしまいそうだ。

茨野 透花
茨野 透花
のぞむ、保健室に行こう?
草飼 望
草飼 望
大丈夫だよ。俺元気だから
茨野 透花
茨野 透花
そんなわかりきった嘘つかないで。なにがあったの?
草飼 望
草飼 望
……ただの寝不足だよ。心配しないで?
ほら、もう次の授業が始まる
茨野 透花
茨野 透花
……望
草飼 望
草飼 望
……じゃあ、休み時間になったら俺のそばにいて?
それだけで、本当にいいんだ
茨野 透花
茨野 透花
わかったわ


 彼がそこまで保健室に行きたくないなら、私は見守ることしかできない。

 けど、弱っているのは明確にわかり、私は望のそばを離れなかった。





 昼休みになっても少ししか食事を取らない望。

 私は食べ終わったのを見計らって、彼の手を引いてあの部屋まで歩き始めた。

草飼 望
草飼 望
透花とうかの方から連れ出してくれるなんて、そんなに心配してくれてるの?
ありがとう


 彼は私の頭を撫でて微笑んでくれるけど、それはいつも通りに見えて少し違った。

 いつも緊張きんちょうで顔が強張こわばってしまう私にはわかる。

茨野 透花
茨野 透花
望、そんなに気を張ってなくていいのよ。
あの部屋に連れていってあげるから、少し休んで


 彼は言い当てられたことにおどろいた様子で、私の後を大人しくついてきてくれる。

 部屋についてソファに座らせれば、彼は崩れ込むように寝転んだ。

 隣をポンポンと叩くのを見て私がそこに座ると、彼は一言呟いて倒れ込んできた。

草飼 望
草飼 望
膝枕して
茨野 透花
茨野 透花
ふふっ、許す前にもうしてるじゃない
草飼 望
草飼 望
透花ならきっと許してくれるから
茨野 透花
茨野 透花
まぁそうね


 柔らかいかみの毛をくように撫でてあげれば、彼はまぶたを閉じてぽつり、ぽつりと話し始めてくれる。

草飼 望
草飼 望
俺、夜遅くまでバイトしてるんだ。
本当はいけないんだけどね
茨野 透花
茨野 透花
お金が必要なの?
草飼 望
草飼 望
うん。俺の父さん小さい頃に死んじゃって、母さんがずっと夜の仕事をして頑張ってるんだ
茨野 透花
茨野 透花
そうなのね
草飼 望
草飼 望
だから、俺もバイトしてる
茨野 透花
茨野 透花
えらいわね。望は頑張り屋だわ
草飼 望
草飼 望
そんなんじゃないよ、えらくみせてるだけ。
……昨日だってバイトでミスをしちゃって、帰りが遅くなっただけなんだ
茨野 透花
茨野 透花
毎日頑張ってたのね。お疲れ様
草飼 望
草飼 望
ふふっ、ありがとう。
けど、こんなになってるのは透花が思うような理由じゃないよ。
ただ悲しくて寂しいだけ
茨野 透花
茨野 透花
なにがあったの?
草飼 望
草飼 望
帰っても家で1人なのは慣れてるけど、昨日は無性に悲しくなっちゃって……それで寝不足。
かっこ悪いでしょ?
茨野 透花
茨野 透花
誰でも弱っちゃうときはあるものよ。格好悪くなんてないわ。
それに、今は私がそばにいる。私なんかでいいならいつでも頼って


 望は今にも泣いてしまいそうな笑顔を私に向ける。

草飼 望
草飼 望
じゃあ、一緒に寝よう
茨野 透花
茨野 透花
ふふっ、お安い御用よ。いつもより甘えん坊なのね
草飼 望
草飼 望
頼ってって言ったのは透花でしょ?
茨野 透花
茨野 透花
そうね。
ふふっ、ゆっくり眠って。私はずっとそばにいるから


 そう言えば、望は安心したように寝息をたてはじめる。

 私もそんな彼の寝顔を見守りながら眠りについた。







 放課後、私は元気になった望と途中まで一緒に帰った。

茨野 透花
茨野 透花
本当に大丈夫なの?
草飼 望
草飼 望
うん! 透花の膝枕で充電できたからね


 彼はいたずらっ子のような無邪気な笑みを浮かべて私の頭を撫でる。

茨野 透花
茨野 透花
本当、恥ずかしいことばっかり言って意地悪ね。
もういいわ、いってらっしゃい
草飼 望
草飼 望
あははっ、怒らないでよ!
今日は本当にありがとう。また明日ね!


 遠のいていく望の背はぴんと伸びていて、ちゃんと元気を取り戻しているのが分かる。

 その後ろ姿が見えなくなるまで、私は目を離せなかった。


 彼は恰好悪くなんてない。私は彼の新たな一面を知る度に、かれていっているのだと自覚してしまった。


 それでも気づかないふりをした。まだこんな私では、彼とは対等になれない気がしたから。











???
本当、邪魔な女