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第3話

一緒に寝よう?


 しんと静まり返っている授業中の教室で、私は前に出て黒板にチョークで答えを書いていた。

先生
はい、茨野さん正解。席に戻っていいよ
茨野 透花
茨野 透花
はい


 チョークを置き、邪魔じゃまかみを耳にかけて教壇きょうだんを下りようとした時。
先生
あ、そっちの手で触ると……、遅かったか。チョークの粉、髪についてるから払っときな
茨野 透花
茨野 透花
え? あぁ、ありがとうございます
茨野 透花
茨野 透花
(みんなの前でドジるなんてっ!! もう、むりっ!!)


 ずかしさは頂点まで達し、私は素早く席に戻った。

 机の下で手をはたき、目をつむって髪をくように汚れを落とす。


 そして、その動作だけで、また思わぬイメージを周りに持たせていた。

男子生徒1
なぁ、いばら姫ってチョークの粉落とすだけでも絵になるな。おしとやかって言うの?
男子生徒2
クールビューティーだけど、清楚せいそな感じもあって俺好みなんだよなー!
茨野 透花
茨野 透花
(粉が散らないようにしただけよ!?)


 ただでさえ前に出るのは苦手なのに、こんな風に目立ってしまうと疲れは倍増してしまう。

茨野 透花
茨野 透花
(授業中なのに……、眠くなってきちゃった。
あと10分で、終わるのに……)


 教科書の字はぼやけ、先生の声も子守歌のように聞こえる。

 まぶたは重くとじられ、私は眠りへと落ちていった。









草飼 望
草飼 望
――うか、お――


 前にも感じた羊がすり寄るような感触に、きっと彼だ、そう思い私はゆっくりと目を開ける。

草飼 望
草飼 望
透花とうか、大丈夫? 次、移動教室だよ
茨野 透花
茨野 透花
……大丈夫って、なんのこと?


 望はまた机にあごをのせ、眠っている私の顔を覗き込んでいたようだ。

 彼の友達の桜庭さくらばくんと鈴城すずしろさんも、私の様子を伺っている。

鈴城 夕凪
めずらしく授業中にも寝てたでしょ? 体調悪いんじゃないかーって話してたの
茨野 透花
茨野 透花
(私の心配を? それで待っててくれたなんて、嬉しい)


 けど、もう教室には私たちだけで、時計は27分を指していた。

 3人を授業に遅刻させるわけにはいかない。

茨野 透花
茨野 透花
ありがとう、大丈夫よ。悪いけど、先に行っててもらえる?


 まだ同級生と話すのに慣れていない私は、緊張きんちょうして言葉が素っ気なくなってしまった。

 起きるまで待っていてくれたのに、こんな態度ではそのうち嫌われてしまうかもしれない。

桜庭 律
んじゃ、とりあえず俺らは行くか
鈴城 夕凪
透花ちゃん、無理そうだったら保健室いくんだよ?
茨野 透花
茨野 透花
えぇ、ありがとう


 2人は教科書を持って廊下に出ていったけど、望だけは私の顔を見つめたまま動こうとしない。

茨野 透花
茨野 透花
(もしかして、まだ心配してくれてるの?)


 じっと彼のひとみを見つめ返せば、私の方へと手を伸ばしてくる。

草飼 望
草飼 望
ふふっ、可愛い寝癖がついてるよ


 彼は手ぐしで私の前髪を梳き、無邪気むじゃきな笑みを見せてくれる。




     ドキッ




 触れていないのに、ひたいにほんのり熱を感じた。

茨野 透花
茨野 透花
(恥ずかしいときとは少し違うけど……。
なに? 心臓がうるさい)
桜庭 律
望、置いてくぞ
草飼 望
草飼 望
今行くー。透花、また後でね


 私が一言も話せないでいるうちに、彼は教室を出ていってしまった。

茨野 透花
茨野 透花
(望となら友達になれる?)


 そう思いはするものの、どうしたら友達になれるのかがいまいちわからない。

 まずは話しかけることが必要だと思うけど、どんな話題がいいのだろう。

 天気がいいこと、昨日見たテレビのこと、休日は何をしているか、好きなものは何か。


 パッと思いつく彼との共通点と言えば、よく眠ること。

茨野 透花
茨野 透花
一緒に寝ない?
茨野 透花
茨野 透花
(っ!? 何か違う! 絶対違う!!)


 ふと思ったことを口にしてしまい、恥ずかしさが込み上げてきた時――。

草飼 望
草飼 望
いいよ
茨野 透花
茨野 透花
……っ!?
草飼 望
草飼 望
やっぱり戻ってきちゃった。一緒に寝ちゃおっか


 彼はいつも通りの調子で席に座り、私の方を向いて眠る体勢に入ってしまう。

茨野 透花
茨野 透花
な、なんで?
草飼 望
草飼 望
え? うーん、透花の寝顔が好きだから? 見てると落ち着くんだよね
茨野 透花
茨野 透花
(そうじゃなくて、なんで戻ってきたのって意味だったんだけど……。もう、何もかも恥ずかしい!)
茨野 透花
茨野 透花
(けど……、私も望の幸せそうな寝顔を見ると癒される)


 こんなところで思っていることが重なり、私は思わず頬がゆるんで笑ってしまう。

茨野 透花
茨野 透花
ふふっ


 彼も私を見上げて嬉しそうに微笑んでくれる。

草飼 望
草飼 望
俺たち似てるよね。親友になれそう
茨野 透花
茨野 透花
(親友……ってことは、望はもう私のことを友達だって思ってくれてたのね)
茨野 透花
茨野 透花
そうね




   キーンコーン

      カーンコーン



草飼 望
草飼 望
あ、授業始まったね。
じゃぁ、おやすみなさーい
茨野 透花
茨野 透花
寝ちゃだめよ
草飼 望
草飼 望
え!? だってさっき!


 私は彼の教科書も持って席を立つ。

茨野 透花
茨野 透花
あら、サボりなんてダメよ。遅刻してでも行くの
草飼 望
草飼 望
そんな、透花が誘ってくれたのに!


 彼は口では駄々をこねつつも、立ち上がって私の後についてきていた。

茨野 透花
茨野 透花
あれは実は事故よ
草飼 望
草飼 望
事故? けど、俺に向けてでしょ?
茨野 透花
茨野 透花
……
草飼 望
草飼 望
じゃあ、今度のお昼休みに埋め合わせして。一緒に寝ようね?
茨野 透花
茨野 透花
……っ!?
茨野 透花
茨野 透花
(まぁ、望がいたっていなくたって、お昼寝をするんだから……、それくらいなら)
茨野 透花
茨野 透花
1回だけね
草飼 望
草飼 望
うん、約束!