もしも僕が彼だったら、こんなに愛おしい人離さないのに。
腕の中、くりくりとした目をこちらに向けて
啞然としているあなたへ笑いかける。
初めて会ったあの日から
あなたの名前を呼んだその日から
ずっとずっと、好きだった。
ゆっくりでいいから、どうか僕を見て。
ふと、先ほど見た椿の花言葉を思い出しながら髪をなぞった。
止まった涙を飲み込んで、君は何ていうかな。
頬を伝わる指が遊んで、唇に触れる。
その唇から出る言葉すべて飲み込んでしまえば、
あなたは僕を見てくれるのかな。
最低最悪な思考をなぞるように、ふわりとキスをした。
雪が僕らを包みこんで離さない。
まるでドラマのワンシーンみたいだ、なんて冷静に考えながら
何度も何度も、言葉を飲む。
僕の腕の中、抑えるように僕の腕を掴んだあなたの顔を覗き込んで、どこか泣きそうになりながら笑いかけた。
初めて会ったあの日から何も変わらないあなたがどこかにいて
僕はそんな彼女を見るためにそばにいる。
ねえ神様。
あなたの小指に結ばれた赤い糸の先は誰に繋がっているのかな。
彼女の良心を傷つけたって、僕が癒してあげるから。
もう一度ぎゅっと強く抱きしめて、
溢れた涙のあとにキスを落とす。
ボムギュさんには譲ってやらない。
これ以上この子を、傷つけさせてなんてやらない。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。