第72話

68話 帰路
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2024/04/21 07:00

来た道を引き返す。


帰りも魔物が絶えなく襲って来るので、周囲に結界を張る。
騎士
おんりー様、魔力の残量は
大丈夫ですか?
おんりー
おんりー
えーっと…



残りの魔力は……あと、1000くらいしかないかな。

結界張るの、大変だったもん。
おんりー
おんりー
あんまり残ってないんですけど…
帰りまでは持ちそうです
騎士
学校まで戻れば回復薬があるので…
早く戻りましょう
おおはらMEN
おおはらMEN
夜になるともっと強い魔獣が
出てくるしな
おんりー
おんりー
え?そうなの?
おおはらMEN
おおはらMEN
うん
……お化けみたいなこわ〜い
魔獣もいるらしいよ?
おんりー
おんりー
早く帰ろっか
少し歩みのスピードを速くする。
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
ちょっ、おんりーチャン速いって!
おんりー
おんりー
ぼんさんが遅いんですよっ!
おらふくん
おらふくん
にしても、魔獣多すぎん?
結構な数倒したと思うんやけど…
おらふくんが皮袋に入れた魔石を数えながら言う。

魔石は、売ったらお金になるし魔術具の材料にもなるので集めている。



確かに、結構倒したよね。

あんまりたくさん来ると魔力を食われるから嫌なんだけど……
おんりー
おんりー
この辺りだけでもこれだけ
いるってことは、森全体とか
何匹いるんだよ………
騎士
いや、おそらく森中の魔獣が集まって来ているんだと思いますよ
おらふくん
おらふくん
…え?
おんりー
おんりー
森中の、ですか?
何で…?
騎士
おんりーさんの魔力に引き寄せられてるんですよ?
ご存知ありませんでしたか?

いや、そんな当たり前のように言われましても。



どういうこと?


俺の魔力に引き寄せられてる…って、俺呼んだ覚え
なんてないんだけど?
ドズル
ドズル
詳しく教えてもらえますか?
騎士
魔獣も、我々人間と同じように魔力感知が使えるんですよ
騎士
普通の人の魔力量なら、周辺の魔獣が少し寄ってくる程度ですが…
なんせおんりー様の魔力量は桁外れ
なので。
おんりー
おんりー
え…それ、防げないんですか?
騎士
魔力を体の外に漏れないようにすれば可能ですが…
相当難易度は高いですよ?

やってみるかぁ…

魔力もあんまり残ってないから無駄に戦いたくないし。
外に漏れないように…ってことは、自分の内側に押し込めるイメージ?
目を閉じて魔力の流れを見る。



おんりー
おんりー
……どう?
おらふくん
おらふくん
んーっと…
あ、魔力感知に引っかからない!
おんりーすごっ!
おんりー
おんりー
えへへ…
おんりー
おんりー
これで寄ってきませんか?
騎士
そうですね、完璧です
騎士の人も断言してるし、これで大丈夫かな。







魔力の制限は随分と効果があったらしく、それきり
魔獣に襲われることはなくなった。

逆に、今までどれだけ魔力を放ってたんだよ俺……







森を出た頃には、太陽は既に沈みかけていた。
ほんと、今日中に終わってよかったぁ…

外で寝泊まりとか、めんどくさいもん。


まぁ、魔王討伐の旅に出たらそんなことも言ってられないんだろうけど。



魔王討伐、か………

倒せば、俺らは現実世界に帰れるんだよね。


……学校の卒業までが、あと2年。

それに加えて魔王討伐の旅なんてしてたら、帰れるのはいつになるんだろう。


別に、この世界が嫌いなわけではない。

みんなといる時間は、現実世界よりも楽しいと感じる時もある。

でも、俺には……やらなきゃ行けないことがあるから。

俺に期待している、お父さんとお母さんもいる。


やっぱり、少しでも早く帰らないといけない。


………現実世界でも、みんなと会えたらいいな…



おおはらMEN
おおはらMEN
おい、おんりー?
おんりー
おんりー
ふぇっ?あれ、呼んだ?
おおはらMEN
おおはらMEN
呼んだって……w
ずっと話しかけてたんだよ?
おんりー
おんりー
マジ?ごめん…
おおはらMEN
おおはらMEN
俺はいいけど…
大丈夫?なんか険しい顔してたけど?
おんりー
おんりー
大丈夫!ちょっと考え事してただけ!
おおはらMEN
おおはらMEN
なら、いいけど…











やがて学校の前まで辿り着く。
騎士
おんりー様と護衛の皆様、今日は
お疲れ様でした
おらふくん
おらふくん
あ、そういえば僕らおんりーの護衛って設定やったね
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
忘れてたわ…
おんりー
おんりー
いろいろ教えてくれてありがとう
ございました!
魔力の制限のやり方も教えてもらっちゃったしね。

正直、結構楽しかったし。
騎士
それでは、また何かご縁があれば
お会いしましょう

そう言って騎士の人は去っていった。





ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
はぁ…
つっかれたぁ!
おんりー
おんりー
ぼんさんは何もしてない
じゃないですか
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
歩いたし!
ドズル
ドズル
みんな歩いてますよw
校門を潜って学校の中へとつながる階段を登る。






















      『…………………………、………









え?




おんりー
おんりー
あれ?なんか聞こえた?
おらふくん
おらふくん
へ?何も聞こえんかったけど…?
おおはらMEN
おおはらMEN
俺も











    『プレイヤー1への接続、完了』




これ……システム音声?
おんりー
おんりー
やっぱり、なんか聞こえるよ…?
ドズル
ドズル
え…?どんな音?
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
空耳じゃね?
おんりー
おんりー
え、みんなは聞こえないの…?










     『対象を強制テレポートします』



その声のした瞬間、足元に魔法陣が浮かび上がる。
おらふくん
おらふくん
え、おんりー?
その魔法陣は…?
おんりー
おんりー
分かんない……!


突然のことに戸惑っていると、視界が歪んでくる。

あわせて、めまいのような感覚。


さっき、テレポート…って言ってたよね。


ってことは、これはテレポート魔法……?


ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
魔法陣が光ってる………?


みんなの声が遠下がっていく。
おんりー
おんりー
ま、待って………
どうにか止めようとするも、魔法陣を消す魔法なんて知らない。
そうこうしているうちに、俺の視界は白い光に包まれた。




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