第27話

バレバレ
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2026/02/20 15:00 更新
森本side
朝。

鏡の前で固まった。

「……うわ」

目、腫れてる。

昨日あんなに泣くと思わなかった。

冷水で冷やしてみる。
何回も瞬きする。

……無理。

(バレる)

でも休むほどじゃない。

深呼吸して、楽屋のドアを開ける。

慎太郎「おはよー」

できるだけ普通に。
でも入った瞬間、視線が刺さる。

ジェシー「……」

北斗「……」

早い。

気づくの早い。

ジェシーがゆっくり立ち上がる。

ジェシー「慎太郎くん?」

嫌な予感。

ジェシー「目、どうした?」

慎太郎「え?寝不足!」

即答。

北斗「嘘」

即答返し。
なんでそんな早いの。

慎太郎「いやほんとに!」

北斗が近づく。

距離、近い。

北斗「鏡見た?」

慎太郎「見たけど!」

北斗「腫れてる」

終わった。

ジェシーが顔を覗き込む。

ジェシー「泣いたね〜?」

慎太郎「泣いてない!」

声が一瞬裏返る。

ジェシー「裏返った!」
最悪。

でもジェシーの顔は、からかい半分、心配半分。

北斗が小さく息を吐く。

北斗「昨日、ちゃんと吐き出した証拠」

その言い方が優しくて、少しだけ胸が温かくなる。

慎太郎「……恥ずいんだけど」

ジェシー「何が」

慎太郎「大人なのにさ」

北斗「だから何」

即答。

北斗「泣くのに年齢制限ない」

ジェシー「むしろ昨日よく我慢してたなって思ってるけど?」
視線が優しい。

逃げ場ないけど、怖くない。

慎太郎「今日みんなにバレたらやばくない?」

ジェシー「バレたら言えばいいじゃん」

慎太郎「何て」

ジェシー、にやっと笑う。

ジェシー「お兄ちゃんに甘えて泣きましたって」

慎太郎「言えるか!」

思わずツッコむ。

その瞬間、空気が少し軽くなる。

北斗がそっとタオルを差し出す。

北斗「冷やしとけ。まだ赤い」

慎太郎「……ありがと」
ジェシーが肩を組む。

ジェシー「今日テンション無理に上げたら怒るからね」

慎太郎「怖」

北斗「自然体でいろ」

昨日の続きみたいな言葉。

でも今日は、胸が苦しくない。

少しだけ目が腫れてる末っ子。

それを隠さなくてもいい朝。

慎太郎「……今日も甘えていい?」

ジェシー「当然」

北斗「申請不要」

笑いが起きる。
今度はちゃんと、軽い笑い。

昨日泣いた自分も、
今日ちょっと恥ずかしい自分も、

全部ここにいていい。

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