片付けなんて全然できなかったから、
とりあえずアロマキャンドルをつけて
匂いだけでも誤魔化す。。。
ジンさんにはソファに座ってもらい
私はキッチンでアメリカーノをいれる
この前の薫さんちでの食事会以降、
うちの会社で取り扱う韓国食品の品数も
増やしてみたりしていた。
何よりここ何日間は、
ジンさんの事を考えて
韓国のものばかり情報を集めていた。。。。
マグカップを二つ持って
ジンさんのいるリビングへ運ぶ
私はカーペットに座り、
ソファに座るジンさんを
下から見上げるような目線になる
やっぱりジンさんは、
初対面の時よりも
ずっとフレンドリーになっている。
最初は猫かぶってたんだなー。笑
冗談をよく言うし、頭の回転が速いから
会話が上手。
ジンさんと話してると、
私はずっと笑ってる気がする
元々恋愛は熱しやすいタイプだけど、
まさか大スターに、こんな真剣に惚れるとは
正直思ってなかった
冷え切っていた指先をあっためるために、
マグカップを両手で持ちながら
ジンさんとお話をする。
とっても心地いい時間。。。。
部屋を見渡しながら、
ジンさんが聞く
ジンさんは喋りながら、
だんだん目を赤くしていた。
そう言いながら、すぐにいつものジンさんの
笑顔に戻った。
私は胸が張り裂けそうだった
初めて会った時とは
全く印象の変わったジンさん。
コンサートに行った日、
楽屋で見たジンさんは
メンバーの人達と笑い合っていて
すごく自然で力が抜けていて、
食事会の時よりリラックスしていた。
そして次に舞台の上で
アイドルとして人前に立つジンさんは
プロとして、全くと言って良いほど
非の打ち所がなく
本当にカッコよかった。
それでも、
そんなジンさんにも、
心の奥に抱えてる物はあって
そんな弱さを私に見せてくれたのが
嬉しかった。
そう言いながらジンさんは私の頭を撫でた。
とっても優しい顔でそう呟くジンさん。
目は少し潤んでいるように見えるけど
すごく大人な笑顔…
あんまりにもジンさんが
大人な顔になるから、、、、
その上優しく頭なんて撫でるから、
完全に宥められている子供の気分。。
感情を抑えきれず
溢れるまま気持ちを伝えてしまった
私の頭を撫でるジンさん
その手をゆっくりと握る。
もう、止められない、、、、
ジンさんが子供扱いなんてするから、
余計に欲が出る。
片方の手をジンさんの膝の上に置く
体重を膝に預けて、
ゆっくり顔を、ジンさんの高さまで上げる。
私はギリギリの所で止まっていると
ジンさんは目を閉じてから、
ゆっくりと最後の距離を縮めていく。
ゆっくりとゆっくりと。
目を閉じたジンさんの綺麗な顔が
ゼロ距離になった。
その瞬間、柔らかくて温かい唇が
私の唇に触れた。
今まで感じた事のない、幸福感。
心臓はドキドキしてるのに
身体は重力を感じてないくらいフワフワしてる。
全身の力が抜けていく感覚。
ゆっくりと目を開ける
優しい声でジンさんが言う。
一生懸命首を横に振る
しばらくの間、
私たちはずっとそのまま手を握っていた
時々短い会話を交わすけど
ほとんど沈黙のまま。
こんなに大きくなってしまった
ジンさんへの気持ちとは裏腹に、
何故か不安な気持ちに襲われる。
だから私は、今この瞬間をしっかり噛み締めてた
隣にいるジンさんをしっかり感じていたかった。
時計を見ると0時を回っていた。
立ち上がって手を繋ぎながら玄関へ行く。
ドアの前でジンさんは振り返り、
また軽く、唇にキスをして頭を撫でた。
そう言って、ジンさんは帰っていった。
また会いにくるなんて、
その言葉が切なかった。
さっきまでの不安な気持ち…
私はこの時初めて、
とんでもない人を
こんなにも愛してしまった
と言う事に気がついた。
もう一度会える可能性なんて、
どれだけあるんだろう。
今を駆け巡るスーパースター
私からしたら、
たまたま出会う事のできた
韓国からのお客様
だったはず…。
そんな人の事を
手に入れたいと思ってしまったなんて
こんなにも好きになってしまったなんて
玄関で立ちすくんだままの私の頬に、
涙がこぼれた。
そのまま、いつの間にか眠りについていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。