第8話

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2022/07/26 03:15






あなた

散らかってますけど…
どうぞ〜






片付けなんて全然できなかったから、
とりあえずアロマキャンドルをつけて
匂いだけでも誤魔化す。。。




JIN
JIN
わーとっても素敵なお部屋です




ジンさんにはソファに座ってもらい
私はキッチンでアメリカーノをいれる

この前の薫さんちでの食事会以降、
うちの会社で取り扱う韓国食品の品数も
増やしてみたりしていた。



何よりここ何日間は、
ジンさんの事を考えて
韓国のものばかり情報を集めていた。。。。



あなた

このアメリカーノ、
韓国で口コミがすごく良かったんですけど
どうですかね?

マグカップを二つ持って
ジンさんのいるリビングへ運ぶ




私はカーペットに座り、
ソファに座るジンさんを
下から見上げるような目線になる




JIN
JIN
うん!このメーカーはとても有名です!
流石あなたさん、センスが良い!!
あなた

本当ですかっ!!

JIN
JIN
わー美味しい!!
淹れるのも上手だ!!
JIN
JIN
あなたさん、
カフェ開けます!!
あなた

えーそれは言い過ぎ🤣🤣










やっぱりジンさんは、
初対面の時よりも
ずっとフレンドリーになっている。


最初は猫かぶってたんだなー。笑




冗談をよく言うし、頭の回転が速いから
会話が上手。





ジンさんと話してると、
私はずっと笑ってる気がする



元々恋愛は熱しやすいタイプだけど、
まさか大スターに、こんな真剣に惚れるとは
正直思ってなかった








冷え切っていた指先をあっためるために、
マグカップを両手で持ちながら
ジンさんとお話をする。







とっても心地いい時間。。。。





JIN
JIN
あなたさんは、本が好き?


部屋を見渡しながら、
ジンさんが聞く




あなた

あぁ、はいっ!
全部小説なんですけどー、、、、
休みの日は映画か小説を読んでるかで、
ずっと家に引きこもってて、

あなた

実は私、根暗なんです!!笑

JIN
JIN
ネクラってどーゆー意味???
あなた

根暗ってゆーのはー、、笑
んー、、、元々が暗い性格て事です。笑
活発的に見られがちたけど
休みの日とかはずーっと家にいて
一人でいたりするのがラクなんです!

JIN
JIN
そうなんだ〜!
確かに、あなたさんのイメージとは違っているね!
あなた

そうなんですよ〜、、、
よく、言われます。。へへ

JIN
JIN
でも僕も表と裏の顔があるのは一緒!
JIN
JIN
元々小さな頃は
本当に自分に自信がなくて、
人前に立つのが大っ嫌いだったんだ。
あの頃の僕からしたら、
今こんなに注目されるようになるなんて
絶対に想像も付かなかったと思う。。
あなた

へぇ〜ジンさんは昔から
スーパースターなんだと思ってました!!

JIN
JIN
全然だよ!!!!笑
むしろかけ離れた性格。
自分は何もできないって、
何にも持ってないって、
小さい頃は本当にそう思っていた。
あなた

………

JIN
JIN
僕はファンのおかげで、
少しづつ自信が持てて
今の自分があるんだ
JIN
JIN
でもたまに、メンバー達を見てると
向上心が上がる時も、もちろんあるけど
そんな時ばかりじゃなくって、
小さい頃のように
自分が何もかもがみんなより劣っているように思えたり、なんだか僕だけが空っぽで何にも持ってない人間なんじゃないかって思う時もあるんだ。
JIN
JIN
弟達がホントにみんな、
才能に溢れてるから…
僕なんて、本当はこのチームにいらないんじゃないかって、、、
あなた

ジンさん…



ジンさんは喋りながら、
だんだん目を赤くしていた。

JIN
JIN
ははっ、ごめんごめん!
JIN
JIN
いつもこんな事思ってる訳じゃないよ
たまーにね。やっぱりこの仕事してると、
孤独を感じやすくて、、、、
落ち込む事もあるんだ





そう言いながら、すぐにいつものジンさんの
笑顔に戻った。







私は胸が張り裂けそうだった






初めて会った時とは
全く印象の変わったジンさん。




コンサートに行った日、
楽屋で見たジンさんは
メンバーの人達と笑い合っていて
すごく自然で力が抜けていて、
食事会の時よりリラックスしていた。


そして次に舞台の上で
アイドルとして人前に立つジンさんは
プロとして、全くと言って良いほど
非の打ち所がなく
本当にカッコよかった。



それでも、
そんなジンさんにも、
心の奥に抱えてる物はあって
そんな弱さを私に見せてくれたのが
嬉しかった。





あなた

ジンさん…

あなた

私、ジンさんの事、支えたい。

JIN
JIN
…えっ
あなた

ジンさんの感じてるプレッシャーや
ストレスとか…
私なんかが想像もできない程、
大きな物を背負ってるんだって事くらい
分かってます!

あなた

でも…私は…
BTSとしてのジンさんとしてじゃなく
1人の男性としてのジンさんが…

あなた

その…すき…なんです…

JIN
JIN
…あなたさん
あなた

だからっ
今みたいな胸の思いも、
心配事も、不安も、
全部全部私に話して下さいっ

あなた

私がジンさんを
…どんなジンさんも、守るから。

JIN
JIN
ははっ、
そんな綺麗な目で見つめないで。
ありがとう。





そう言いながらジンさんは私の頭を撫でた。




あなた

あっ…ごめんなさい。私…

JIN
JIN
あなたさんの目は、
いつも真っ直ぐで
本心で話してくれてるって
そう信じられるよ。


とっても優しい顔でそう呟くジンさん。


目は少し潤んでいるように見えるけど
すごく大人な笑顔…






あなた

ずるいよ、ジンさん







あんまりにもジンさんが
大人な顔になるから、、、、
その上優しく頭なんて撫でるから、
完全に宥められている子供の気分。。




感情を抑えきれず
溢れるまま気持ちを伝えてしまった
私の頭を撫でるジンさん


その手をゆっくりと握る。





もう、止められない、、、、








ジンさんが子供扱いなんてするから、
余計に欲が出る。





片方の手をジンさんの膝の上に置く




体重を膝に預けて、
ゆっくり顔を、ジンさんの高さまで上げる。





私はギリギリの所で止まっていると

ジンさんは目を閉じてから、
ゆっくりと最後の距離を縮めていく。

ゆっくりとゆっくりと。

目を閉じたジンさんの綺麗な顔が
ゼロ距離になった。

その瞬間、柔らかくて温かい唇が
私の唇に触れた。







今まで感じた事のない、幸福感。

心臓はドキドキしてるのに
身体は重力を感じてないくらいフワフワしてる。



全身の力が抜けていく感覚。








ゆっくりと目を開ける

JIN
JIN
嫌じゃ、なかった?



優しい声でジンさんが言う。





一生懸命首を横に振る

JIN
JIN
良かった。








しばらくの間、
私たちはずっとそのまま手を握っていた



時々短い会話を交わすけど
ほとんど沈黙のまま。


こんなに大きくなってしまった
ジンさんへの気持ちとは裏腹に、
何故か不安な気持ちに襲われる。


だから私は、今この瞬間をしっかり噛み締めてた
隣にいるジンさんをしっかり感じていたかった。




時計を見ると0時を回っていた。






あなた

もう日付け変わっちゃった

JIN
JIN
ね、僕そろそろ行かなくちゃ
あなた

…うん





立ち上がって手を繋ぎながら玄関へ行く。



ドアの前でジンさんは振り返り、
また軽く、唇にキスをして頭を撫でた。









JIN
JIN
必ずまた、会いに来るよ


そう言って、ジンさんは帰っていった。










また会いにくるなんて、
その言葉が切なかった。



さっきまでの不安な気持ち…

私はこの時初めて、
とんでもない人を
こんなにも愛してしまった
と言う事に気がついた。





もう一度会える可能性なんて、
どれだけあるんだろう。



今を駆け巡るスーパースター

私からしたら、
たまたま出会う事のできた
韓国からのお客様
だったはず…。




そんな人の事を
手に入れたいと思ってしまったなんて



こんなにも好きになってしまったなんて







玄関で立ちすくんだままの私の頬に、
涙がこぼれた。







あなた

やばー…。
しっかりしろ、私









そのまま、いつの間にか眠りについていた。






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