いるまに案内され、そのままあいつの部屋へ向かった
お互いあまり良い雰囲気では無いので
ベッドや椅子に座るのは、何だかおこがましく感じ、
俺はカーペットの上に座る
何か言おうとしては、
また口を噤むのを繰り返しているあいつを見て
これから話す事は、少し言いづらい事なのか、と
俺は悟った。
少しでも話しやすいようにと、俺は自分から口を開く
これは、俺が本当に疑問に思っていた事でもあるし……
未だに立ちっぱなしのいるまの方を見上げると、
怒っているような、気まづいような、そんな顔をしていた
____________違った。
あいつの顔は俺が思っていたのでは無かった
いるまは、涙を噛み締めながら俺に言い捨てていたのだ。
そんなあいつの言葉を聞いた、俺の頭は真っ白だった。
いるまが泣いている理由、いるまが言った「守る」の意味、
どちらにも俺は理解が追いついていなかった
俺があいつに言えるのはその言葉だけ。
ただこれだけは、少し虚しくなるが何だか自信があった
俺の言葉に、いるまは " でもっ……! " と、言い返そうとする
俺はあいつの言葉を待たずに、そのまま話続ける。
実は、彼女とショッピングセンターへ向かっている最中、
俺は少し気になったので聞いていた。
" いるまの事、嫌いになったの? "
オブラートに包まずに、そのままね。
いるまは気が抜けたのか、へなへなとベッドに座り込む
やはり、昼休みの事をずっと引きずっていたのだろう
俺は一件解決かと思ったが、 " 違ぇ…… " と
あいつは再び真剣な眼差しで聞いてくる
俺がずっと思っていた事を口にすると、
あいつは大きな溜め息を吐き、 " そこからか、 " と呟いた
あいつが言った事は、俺にとって思いがけない事だった。
多分、俺がいなかったあのタイミングに
彼女はナンパにあったんだと思う。
俺、先輩として、1人の男として、とんだ最低だな……、と
過去の自分を悔やんでいると、
いるまは必死な顔で俺に言葉をぶつけた
俺は、極限まで怒っているあいつに違和感を覚えた。
ねぇ……いるま……。
なんで、そんなに_____________
N E X T .
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。