第20話

『 1 9 . 』
183
2024/06/19 13:00



















いるまに案内され、そのままあいつの部屋へ向かった









紫崎
適当に座っとけ。








桃雲
じゃ、ここでいいよ










お互いあまり良い雰囲気では無いので



ベッドや椅子に座るのは、何だかおこがましく感じ、



俺はカーペットの上に座る








何か言おうとしては、



また口を噤むのを繰り返しているあいつを見て








これから話す事は、少し言いづらい事なのか、と



俺は悟った。









桃雲
いるま、何か怒ってる……よね、?













少しでも話しやすいようにと、俺は自分から口を開く







これは、俺が本当に疑問に思っていた事でもあるし……






未だに立ちっぱなしのいるまの方を見上げると、



怒っているような、気まづいような、そんな顔をしていた










紫崎
お前……あなたに好かれてんだから、



紫崎
っ……守ってあげる事ぐらいしろよっ……














____________違った。







あいつの顔は俺が思っていたのでは無かった







いるまは、涙を噛み締めながら俺に言い捨てていたのだ。

















そんなあいつの言葉を聞いた、俺の頭は真っ白だった。







いるまが泣いている理由、いるまが言った「守る」の意味、



どちらにも俺は理解が追いついていなかった












桃雲
俺は、別にあなたから
特別好かれてる訳じゃないよ、













俺があいつに言えるのはその言葉だけ。





ただこれだけは、少し虚しくなるが何だか自信があった








俺の言葉に、いるまは " でもっ……! " と、言い返そうとする











桃雲
それに、いるまも嫌われていないから











俺はあいつの言葉を待たずに、そのまま話続ける。








桃雲
だって、あなたから言われたらよ。


桃雲
 " 事情があって、最近兄にわざと
冷たくしているんです " って









紫崎
は……?事情っ……?










桃雲
そこまでは俺も知らないけど、


















実は、彼女とショッピングセンターへ向かっている最中、



俺は少し気になったので聞いていた。








" いるまの事、嫌いになったの? "







オブラートに包まずに、そのままね。











紫崎
何だよ……事情って……












いるまは気が抜けたのか、へなへなとベッドに座り込む








やはり、昼休みの事をずっと引きずっていたのだろう









俺は一件解決かと思ったが、 " 違ぇ…… " と



あいつは再び真剣な眼差しで聞いてくる










紫崎
俺が言いたいのは、
あなたを守ってやれって事だよ、







桃雲
……ねぇ、その " 守る " って何なの、?














俺がずっと思っていた事を口にすると、



あいつは大きな溜め息を吐き、 " そこからか、 " と呟いた










紫崎
……ナンパとかから、
あいつの身を守ってやれって意味。










桃雲
え……、あなたナンパされたの……?














あいつが言った事は、俺にとって思いがけない事だった。







多分、俺がいなかったあのタイミングに



彼女はナンパにあったんだと思う。






俺、先輩として、1人の男として、とんだ最低だな……、と



過去の自分を悔やんでいると、







いるまは必死な顔で俺に言葉をぶつけた












紫崎
お前っ……次もまたあいつを守れなかったら


紫崎
ぜってぇ許さねぇかんなっ……
















俺は、極限まで怒っているあいつに違和感を覚えた。



















ねぇ……いるま……。






なんで、そんなに_____________


















桃雲
もしかして、焦ってる……?






















N E X T .









プリ小説オーディオドラマ