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第57話

第五章51話「それでも貴方の隣に」
79
2026/03/12 13:15 更新
問題 カナの専属神の特性は【主の??】か
前回のクイズの答え 心

ファルドラ
さぁ、どうする?
ファルドラ
背負うか。 預けるか
パト
……
 
パトは答えない。

戦闘体制を崩さず、ただ相手を見ている。

ファルドラ
(いいね、まだ迷っている)
ファルドラ
(2人が共闘するとやりにくいからね)
ファルドラ
(単独行動をするように誘導しないと)

ファルドラの視線が横へ動く。
カナ
……!
ファルドラ
(さぁ、本格的に崩していこうか)
 

カナ
(私も、私だけの何かがほしい……)
カナ
("中途半端"なんて、自分も周りも)
カナ
(二度と思わないように……)





カナ:side


カナ
(もう迷惑はかけられない)

カナは気を引き締める。

そこへ淡々とした声。
ファルドラ
今度は何をする気かな?
ファルドラ
君がいない方が彼も戦いやすいだろうに
ファルドラ
無駄なことしない方が身のためなのにさ
カナ
……っ、関係ないでしょ、貴方には

そんな強がった言葉とは裏腹にカナの胸が重くなる。

実際、今までの戦闘で"役に立った"という
感触が微塵も感じられなかったからだ。
カナ
(やっぱり)
カナ
(私が足引っ張ってるのかな)

カナは拳を力強く握る。

カナ
(ああ、もうっ!)
カナ
(そして自己嫌悪に陥ってしまう)
カナ
(こんな私自身にも腹が立つ!)
 
ファルドラ
……今度はこっちから、


ファルドラはそう言うと、
自身の片手にオーラを偏らせる。
ファルドラ
さぁ、始めよう
カナ
……!
カナ
(また光線? 今度は何?)


カナが身構えた直後、視界が光に包まれる。
カナ
ハッ……!





カナ
っ……!

視界が一瞬で白に塗り潰され、
カナは反射的に腕で目を覆った。

まぶたの裏まで焼きつくような眩しさに悶え、
軽く前傾姿勢になる。
カナ
(なに、これ……!?)

強すぎる光に、思わず一歩下がる。
カナ
……!?

足元が僅かに揺れた。

次の瞬間。




──ドンッ!!





重い衝撃音が大地を震わせる。


カナははっと顔を上げ、
腕の隙間から周りを覗いた。




──そこには白く滲む視界の向こうで……。

カナ
……!? う、嘘……
 
パト
っ……


パトが地面を踏み込んでいた。

地面を蹴った瞬間、でこぼことした地表が砕ける。
土が弾け、細かな欠片が宙に舞った。


パトの拳が振り抜かれる。
ファルドラ
──ハッ!!

それに対し、ファルドラはオーラ壁で対抗する。

だが、拳からの衝撃が
徐々にそれを押し込んでいった。
カナ
(すごい)
 
カナ
(もう……戦ってる……)

胸の奥が、重く沈む。

パトの動きは迷いがない。

パトが打撃を打ち込む、そのたびに、
地面の凹凸がさらに崩れていく。
カナ
(私、まだ……)

カナは目を細める。

視界の端で、光がまだちらついている。
カナ
(これってただの目眩し……?)

ただの撹乱。

それだけの攻撃。

それなのに。
カナ
(それだけで……私は)


──立ち止まっている。



ドンッドンッ!!

連続する衝撃音。

地面のひび割れが、どんどん広がっていく。

ファルドラが一歩、また一歩と後退する。
カナ
(パト……)

カナは小さく息を呑む。
カナ
(押してる)

胸の奥に、浮かびたくない言葉が浮かぶ。
カナ
(パト1人で……)
カナ
──戦えている……

それどころか、優勢に見える。

カナの胸がざわついた。
カナ
(やっぱり……)

その瞬間。

頭の奥に、ふっと昔の光景が浮かんだ。




〜回想〜






〜訓練場〜




東京に着いてから、訓練内容は
実践的な模擬戦が行われていた。
カナ
やっぱり強いね、パト

パトは肩をすくめる。
パト
いやまだまださ。
俺だって、必死にやってる
カナ
パトは謙虚だね〜
まぁ、調子乗られても困るけどさ

カナは笑う。

パトは少し考えてから言葉を発した。
パト
俺は、監獄塔の記憶が
頭から離れないんだよ
パト
あの時、仲間はいたけど
結局戦うってなったら一対一だった
パト
戦いって、最後は一人が多いんだよ

カナの笑顔が、ほんの少しだけ止まる。

パトは気づかない。
パト
仲間がいても
パト
結局、最終判断は自分だ
パト
だってそうじゃないと、
スピードが速くなるにつれて
パト
"仲間の判断を理解して行動する"
パト
──これが『不可能』になるから

パトは拳を握る。
パト
だから、俺は
パト
──1人でも戦えるようにしてる



戦場。

衝撃音が響く。

カナははっと我に返った。

その視界には、優勢な状況を掴んでるパトが映る。
カナ
(やっぱり)
カナ
(パトは一人で戦える)

その瞬間。

ふっと、頭の奥に声が流れ込んだ。
???
(カナに支えてもらった分)
???
(俺が背負わないと)
 
???
(この状況を打破してみせる)

カナの心臓が跳ねる。
カナ
……え?

視線を上げる。

パトは変わらず、戦っていた。
カナ
今の……

いつも流れるパトの思考。
私の専属神の特性である【主の心】の効果。


"主の感情、思考"を一方的に
共有し、私に全て伝わってくるというもの。

カナは息を呑む。
カナ
(そんな訳ない)

目の前の戦いを見る。

パトは押している。

確実に。
カナ
(だって)
カナ
(背負う必要なんて)
カナ
(ましてや、打破する必要も……)

──ない。

その時、また、声が響く。
???
(カナには色々助けて貰った)

カナの眉が寄る。
カナ
(違う)

胸の奥で、言葉が沈む。
カナ
(パトは私がいなくても)
カナ
(強い)
カナ
(それに……戦える)

それなのに。

また、思考が流れ込む。
???
(判断は俺がやる)
???
(俺がリーダーとして背負うんだ)

カナの胸がざわつく。
カナ
(……なんで)

何度も。

同じ思考が流れてくる。

戦場を見ても、パトはずっと相手を押してる。

それなのに、思考は変わらず、ずっと同じだ。
???
(背負う)

カナは小さく息を呑む。
カナ
(おかしい)

その時。

頭の奥に、また、別の記憶が浮かんだ。

〜回想〜



夜。

外の気温はとても寒く、
息をするだけで周りが白に包まれる。

パトとカナは寒さを紛らす為、くっついて座る。
カナ
またあの日の事、気にしてるでしょ

パトが顔を上げる。
パト
……別に

カナは優しく微笑みかける。
カナ
カナ
さっき思ったでしょ
カナ
"俺の判断ミスだった"って

パトの目が少し開く。
パト
カナには隠し事は無駄だったね

カナは肩をすくめる。
カナ
一番、パトのこと理解してると思うよ

パトは外の吹雪を見ながら話す。
パト
主なんだから当然だよ

カナは首を振る。
カナ
違うよ、それは
カナ
パトは何でも自分で背負おうとする
カナ
でも、それは主の仕事じゃない




少しの間、沈黙が流れる。
カナ
仲間がいるなら
カナ
──分ければいいんだよ

パトは小さく息を吐く。
パト
……カナには敵わないな

カナが笑う。
カナ
でしょ!
パト
でも、仲間は失いたくないんだ
カナ
それは分かってるよ、私が一番ね
パト
……やっぱりカナと話すと、
パト
──頭の中が整理される


再び戦場。

カナの視線が上がる。

パトが戦っている。
パト
……っ、

その光景を見て、カナの胸が強く鳴る。
カナ
(違う)
カナ
(パトは背負いがちだ)
カナ
(そして仲間を大事にする)

カナは再び戦場を見る。
カナ
今のパトは一度もこっちを見ていない
カナ
パトは仲間を無視して戦う人じゃない

胸の奥で確信が生まれる。
カナ
私も何かの形で
パトの支えになれてた
カナ
私だって……しっかり存在してるんだ




カナ
私がいない前提で
カナ
──勝手に物語を進めるなっ!
 
カナ
神格開放ッ!!!


その瞬間。

戦場の景色に亀裂が走った。

空間がひび割れていく。



そして──

【幻覚】が、崩れ落ちた。



光が砕け、視界が一瞬で暗転する。

次の瞬間──

現実の戦場が戻った。
カナ(神格開放)
っ……!

カナの足元で地面が爆ぜる。

衝撃波。

土が跳ね上がる。

視線を上げた瞬間、カナの息が止まった。
パト
がぁっ!

パトが後ろへ弾き飛ばされ、
身体がでこぼこの地面を滑る。
カナ(神格開放)
パト!

ファルドラが腕を振る。

オーラ光線が凄まじいスピードで走った。

そんな攻撃をパトは身体を捻って避けていく。

だが、体勢を崩され、戦況は防戦一方だった。
カナ(神格開放)
(パトが押されてる……?)

優勢だったはずの戦い。

それは視界のどこにも存在しなかった。

胸の奥に残っていた重さが、ゆっくりほどけていく。
カナ(神格開放)
(そうだ)
カナ(神格開放)
(さっきのは全部、幻覚)

そんな中、ファルドラは一瞬、瞳にカナを映した。
ファルドラ
……!?
ファルドラ
カナの意識が戻ってる!?
ファルドラ
(虚構支配から生み出した幻覚を)
ファルドラ
(破った、ということは)
 
ファルドラ
(二人は単独行動を望まなくなった!)
ファルドラ
(これは想定外な結果だ)

その時。

頭の奥に、再び、あの声が流れ込む。
パト
(カナに支えてもらった分)
パト
(俺が背負うんだ)

カナの眉が寄る。

パトが衝撃を受け、後ろへ跳ぶ。
カナ(神格開放)
(背負う……?)

カナは小さく息を吐く。

そして、少しだけ笑った。

カナ(神格開放)
……ほんと

小さく呟く。
カナ(神格開放)
変わってないね

カナは一歩踏み出し、地面の凹凸を踏み越える。

パトは光線を避けるが、次の攻撃が迫る。

カナは叫んだ。
カナ(神格開放)
パトッ!!

パトの視線が、初めてこちらを向く。

カナは言う。
カナ(神格開放)
前に言ったじゃん!

光線が地面を裂く。

カナは続ける。
カナ(神格開放)
何でも一人で背負うなって!

パトの目が一瞬だけ揺れる。

カナは地面を蹴って、距離を詰める。
カナ(神格開放)
仲間がいるなら

拳を握る。
カナ(神格開放)
──分ければいいって!

ファルドラの光線が迫る。

その瞬間ッ! カナが再び叫ぶ。
カナ(神格開放)
今!

パトが反射的に動く。

身体を横に流す。

光線が空を裂き、地面が爆ぜた。
カナ(神格開放)
(……そうだ)

胸の奥で、静かに言葉が浮かぶ。
カナ(神格開放)
(パトは一人で戦ってたわけじゃない)
カナ(神格開放)
(ずっと背負おうとしてただけだ)

ファルドラが二人の前へ再び立つ。
ファルドラ
……厄介だな
カナ(神格開放)
パトの代わりに答えるね
ファルドラ
……何のことか分からないな
カナ(神格開放)
さっきの質問の答え……
パト
……っ!
カナ(神格開放)
答えは、「預ける」
カナ(神格開放)
いや、「預けさせる」
パト
……

パトは何も言わない。

だが、ほんの少しだけ構えが変わった。

カナの視線が前を向く。
カナ(神格開放)
(私だって……パトの横に立てる)
カナ(神格開放)
(パトのことを一番理解してるのは)
カナ(神格開放)
(私だ!)
 
ファルドラ
今からが第二ラウンドってことか

3人が戦闘体勢になる。
カナ(神格開放)
(中途半端だけど)
カナ(神格開放)
(私は貴方の隣にいたい!)
カナ(神格開放)
(自分の価値を証明するためにも)
カナ(神格開放)
──絶対に勝つッ!!!



り。
り。
お久しぶりです
り。
り。
最近、文量が長めになっちゃって
展開がはちゃめちゃですが、
り。
り。
楽しんでもらえる方が
一人でも居るなら嬉しい限りです!
り。
り。
あと、実は
り。
り。
この物語を投稿し始めてから、
一年が経ちました!
り。
り。
まだまだ内容は進みませんが、
少しずつ頑張りますね!
り。
り。
では、クイズです!

アンケート

カナの戦闘スタイルは次の内どれ?
アタッカー
7%
バランス
21%
ディフェンス
64%
アビリティー
7%
投票数: 14票
り。
り。
ちょっと難しいかな?
り。
り。
では、また次の機会に〜


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