第15話

恋は盲目2
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2021/03/06 18:30
ころん
ころん
ん…
のそり、と起き上がる。時計を確認するともう12時だった。
ころん
ころん
…ハッ、やば…っ!!
ドタドタっと階段をかけおりリビングへ行くと、父さんと母さんがいた。
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あ、やっと起きてきたのね
ころん
ころん
今日友達と会う約束してるんだった…!!
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えぇ?!何時から!
ころん
ころん
11時!!
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もう1時間も過ぎてんじゃない!!急ぎなさい!!
ころん
ころん
(やばいやばいやばい…!!)
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そういえばころん
ころん
ころん
なに?!
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今日の狩りは夜だぞ
ころん
ころん
ピタッ
ころん
ころん
…わかっ、た
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夕方には帰ってこい
ころん
ころん
…いってきます
バタンとドアを閉める。
夜に狩りをする、とはそのままの意味ともう1つ意味がある。
お前も行くんだぞ、という意味だ。
今日は1ヶ月に1度の僕も狩りをする日。
18歳を迎えたら1人で狩りが出来るように今から練習するんだ。
父さんは僕がいつまでも上手にならないからあんまりこういう日は好きじゃない。
だって僕は天使村の人間になりたいし天使村の人間と仲良くしてるし。上達するわけねーだろ。
ころん
ころん
っと…違う違う、急がなきゃ
憂鬱な気分を振り払い、村境へ足を早めた。
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ころん
ころん
るぅとくーん…
るぅと
るぅと
!!
ころちゃんっ?!✨
ころん
ころん
遅れてほんっとーにごめん…
るぅと
るぅと
ほんとですよ!!どんだけ待ったと思ってるんですか!もう12時です!
ころん
ころん
え、時間わかんの?
るぅと
るぅと
触って時間がわかる時計持ってるんです!
るぅと
るぅと
ってか、何してたんですかぁ?こんな時間まで
ころん
ころん
や、まぁ…寝てた。
るぅと
るぅと
はあ〜??7時の鐘で起きなかったんですかー?
ころん
ころん
7時の鐘…?ハッ
ころん
ころん
(天使村にはそういうのがあんのか…!)
ころん
ころん
やーなんか今日は眠くて…はは
るぅと
るぅと
あっでも!ガサゴソ
ころん
ころん
ん?
るぅと
るぅと
じゃーん!
るぅとくんの手の上には花かんむりが乗せられていた。
ころん
ころん
え、これ…作ったの?
るぅと
るぅと
そう!ころちゃんに似合うかなって!
目が見えない分、るぅとくんは人よりこういう細かい作業は苦手なはずだ。一つ一つ穴を触って確認していかなきゃならない。
ころん
ころん
(なのに、僕のために…)
ころん
ころん
あ、ありがとう…!!
るぅと
るぅと
そんな嬉しいですか?笑
ころん
ころん
うん!!めちゃくちゃ嬉しい…!!!
こんなに喜んだのは人生で初めてかもしれない。
何より、自分の好きな子からプレゼントを貰うなんて天にも昇る思いだ。
るぅと
るぅと
えへへ〜笑
僕の分もあるんですよ!
ころん
ころん
(?!2つも…?!)
るぅと
るぅと
ほらっ!おそろい!
ころん
ころん
っ、え、へへ…っ//
るぅと
るぅと
えへへ笑
ころん
ころん
(笑ったのなんて何年ぶりだろう…)
ころん
ころん
ね、僕にも作り方教えてよ
るぅと
るぅと
!!
いいですよ!
…あぁ、この時間が、永遠に続けばいいのに。
ころん
ころん
(夜になんか、なってほしくない)
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じゃあ、いくぞ。ころん仮面持ったか?
ころん
ころん
…うん
夜。顔を隠すための仮面と闇に紛れるための黒いマントを身につけて僕ら家族と狩りの仲間達は天使村へ向かう。
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今日はここら辺だ。広範囲に広がってやれ。ころんは俺の近くで行動しろ。
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以上、開始
全員散らばったと思うと瞬く間にあちこちから悲鳴が聞こえてくる。
ころん
ころん
(…っ、ほんとやだ…)
人なんて殺したくない。こっちの方で隠れてよーっと…
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おい!!
ころん
ころん
ビクッ
ころん
ころん
(見つかった…)
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こっちにこい!お前もやるんだ!
ころん
ころん
…スタスタ
父さんがいる所には倒れた男女と青年がいた。
ころん
ころん
………え?
るぅと
るぅと
父と母を返せ!!!
ころん
ころん
るぅと…くん…?
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目が見えないようだ。お前の獲物にピッタリだろう
ころん
ころん
え…でも…っ
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何をモタモタしているんだころん、とっとと撃て
るぅと
るぅと
ピクッえ…っ?ころ、ん…?
ころん
ころん
だって…む、無理…!!
るぅと
るぅと
ころちゃん…?!どうしてここに…?!
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ほら早く!!!殺せ!!!
るぅと
るぅと
こ…ころちゃんっ?!?!
ころん
ころん
え゙…っ、あ゙…!!
わなわなと震えながら銃先をるぅとくんへ向ける。
が、引き金を引けない。
るぅと
るぅと
嘘…っ!!どうして…?!?!
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殺せ!!!ころん!!!!!ええいもう!!!!
るぅと
るぅと
ころちゃ…
パァン!!!!!!
ころん
ころん
…………あ
横にいた父が手を伸ばし、僕の銃の引き金を引いた。
るぅとくんが後ろへ倒れる。血が吹き出す。
ずっと閉じていた目は半開きになって焦点があっていない。
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よし、俺は次の場所へ行ってるから来いよ
ころん
ころん
………ドサッ
全身の力が抜けた。
目の前で好きな人が死んだ。
僕の持っている、この銃で。
るぅと
るぅと
カサッ
るぅとくんの腕から何かが落ちた。目をやる。
花かんむりだった。
ころん
ころん
…………あ
ころん
ころん
あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッッッ!!!!!!!!!!
なんて馬鹿なんだろう。
なんて愚かなんだろう。
僕は所詮黒族で、るぅとくんは白族だ。「白族になりたい、仲良くしたい」なんて叶わない望みなんか夢見て、
僕は、馬鹿だ。
ころん
ころん
るぅとくん、るぅとくん…っ
力が入らない体を引きずってるぅとくんの手を握る。
ころん
ころん
…ごめんね、ありがとう
涙で視界がぼやける。あぁ、るぅとくんの顔が見えないじゃないか。
ころん
ころん
また、来世で会おう
口に銃をくわえた。
引き金を、引いた。
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True End

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