久しぶりの実家で寛いでいたアスランに、エンドがモニター越しにヴァイスと会わせる。
深々と礼をした彼は、開いていたパソコンの画面を開き、申し送りを始めた。
一通りふざけた後、姉弟は画面をよく確認し、
ヴァイスが微妙に深刻そうな顔になる。
エンドは窓に向かってノールックで拳銃を撃つ。
ガラスを割って飛び出した弾は、今まさに窓を突き破ろうとしていた刺客の肩に被弾。刺客はもんどりうって転倒し、頭を打って失神した。
近所の人に見られるとマズイので、ひとまず刺客を部屋に引きずり込み、肩を適当に手当てする。
それが終われば、縄で縛って床に放置だ。ヴァイスは何事もなかったかのように話を続ける。
普段あまり動かない顔を不満そうに動かしながら、ヴァイスはそのまま続ける。
そうしてヴァイスが口にした頼み事に、その場の全員が腰を抜かしかけた。
画角の外でスターが、
「だから『仕事は私に任せてちゃんと寝て』って言ってるのにあなたは」
とグチグチ言うのが微かに聞こえてくる。一瞬画面を外れて平謝りするヴァイス。スターと婚約を結んだヴァイスだが、未来の妻に順調に尻に敷かれつつあるようだ。
ちなみにアペルピシアの面々は当然この事を知らず、何故かスターの声が聞こえるなぁ、程度にしか思っていない。
ヴァイスの言葉に、場がピリついた空気になる。
アルカラムは殺し屋一族である。定められた矜持──殺すに値する悪人の殺害──に当てはまりさえすれば、どんな仕事もやり遂げる。
端から見れば、アスランは拐われ脅されていたとは言え、国家転覆すら成し遂げられる技術でもってニセ札を作り出した悪人だ。
まあ脅されていた時点で、アルカラムの定めた矜持からは外れているが……。
急な罵倒に戸惑うアスラン。
エイミーの大声で床に転がされていた刺客が目を覚まし、縄から逃れようと暴れる。しかしエンドが拳銃を突きつけると大人しくなった。
そのまま銃の安全装置を外し、追加で超小型爆弾をいつでも起爆できる状態で刺客の目の前に置く。
エンドの目配せで察したグレイスが睡眠剤を注射器で打ち、刺客は再び夢の世界へ。
その言葉を最後に通信が切れる。頭を抱えるアスラン。
真上の天井を破ってアグレッシブ入室をしてきた刺客を気絶させ、エンドはほんの少し思考を巡らせる。
エセリンダは外へ出て行った。少し間が開き、バキッと瓦の割れる音が聞こえてくる。
死因:絵の具による窒息死 or 溺死を想像して、エイミーは噴き出した。
あらゆる方面にツテを持つ、一家の大黒柱ことウルリヒ・カーター。しかし政財界へのツテはほとんど無い(逆にあったら怖いが)ため、裏から直接情報操作するのは無理がありすぎた。
さっきの天井の穴から音もなく降りてきた刺客の首を、エンドは今日一番の笑顔でシメた。
この組織の運営はトップの人望がこんなんで大丈夫なのか、と疑い始めるアスラン。
駄々っ子のようにいじけるエンド。
戦闘力や科学力の面、命の恩人である点においては、確かにアスランは彼を尊敬している。が、ここまで部下に嫌がられているのを見ると……。
アスランは哀れみの目を新しいボスに向ける。純粋に可哀想だという感情を込めておいた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。