プルルルル、プルルルル…… 📳
電話の主は、アルカラム一族の長ヴァイス・アルカラム。
何やら緊急で依頼したい事があるそうで。
突如現れたエイミーがスマホをひったくり、電話の向こうに怒鳴りつける。
通話は切れた。
人見知りで気弱な『画家』のアスラン。
しかし、今アペルピシアの前で不敵に笑うのは、『天才贋作師』のアスランだ。
ふとある事を思い出すエイミー。
神技的な速さでエイミーが部屋から走り出る。
監視用モニターが並ぶ部屋に入ると、
左端のモニターを指差すエンド。
部屋中にキャンバスが広げられている。内装はリックたちと同じはずだが、油絵の具、水彩絵の具、大量の筆、定着スプレーなどが床に転がっている。
かなり散らか……芸術的な部屋だ。
部屋の主は大量の紙束を抱えて帰ってきた。
どうやら贋作を描くために、原画を原寸大でカラーコピーしてきたようだ。
当然だが監視カメラ越しなので、その呟きが聞かれる事はない。
アスランは複数のイーゼルにキャンバスを立て掛け、まずは1枚目に取り掛かった。
異常なスピードで。
アスランは早くも4枚の下描きを終え、フィキサチーフ(定着スプレー)を吹きかけている。
そのまま作業机に向き、今度は薄い鉛筆で古びた紙にまた下描き……。
リックはポケットから買い物メモを取り出し、『卵』と書き足す。
その後も入れ替わり立ち替わり、アスランの様子を見守っていた4人。
────3日後。
あまりにも不健康な生活。
ちょうどその時、疲れた顔のアスランが何か抱えながら部屋に入ってきた。
ファイルから取り出されたのは、「イカロスが描かれた風景画」。
ハンス・ボルの有名な水彩画の一つである。
世界的な修復家、エドワード・ロッシ。
元から絵画に大きな才能を持っていた人間が、彼に師事して『絵画のクセを見抜く能力』を手に入れた。
その結果が、天賦の才を持つ贋作師……。
その後も約2週間に渡り、
・徹夜で絵を描き続けては気絶
・サプリメント食(……食?)
と、ほぼ廃人のような生活をしていたアスランだが──。
丸2日ほぼ昏睡状態になっただけで、完全復活を果たした。
もはや人間かどうか疑わしい。
ガチャン、ツーツーツー☎
目をパチクリさせるアスラン。
それからアスランは健全な生活に戻るため、ほぼ24時間の監視体制の下で少しずつ、体を慣らしていった。
一週間後。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。