第14話

狭霧山の皆
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2026/08/15 15:44 更新
※(ここからは第三者目線で物語を進めていきます。
 第三者目線の時文頭には※をつけておきます)
 




いよいよ晩夏に歩んで行こうとしている季節だが
蝉の鳴き声が絶えず
あたりはは蒸し暑いままである





小さな少女はその鴉を道標にして
休憩を与えられる隙もなく、せっせと付いて行く



育手の所へ向かおうとしている途中なのだ




長い旅路の中

彼女の額からは薄い汗が滲み
暑さで唇は乾燥していた






「ふーっ、
 どれだけ走るの…?」


あなたは息を切らしながらも、
鴉の後を追うと

黒い翼は薄暗い山の中へ姿を消した


『早すぎるよ、待ってったら!』



この鴉はこの少女にとって大事なのだ
何せ蝶屋敷を出発する前に



「いい?
 あなたちゃんは、
絶対にこの子を見失ったらだめよ?」





とカナエに念押しされていたのだ。




 

大きな木々が立ち並ぶ山中は

おそろしいほど静寂の中
鳥の囀りさえ聞こえない


路は無く、青々とした雑草が生い茂っている

少女は己の感覚を頼りながら
山を登り始めた



________
どれ程時が経ったのだろうか





一日飲まず食わずとは言えないが
体力は残り僅かだと彼女は思い知った



全身の汗が衣服に吸収され
布にへばり付かれて身動きがとるのも苦しい所

滝の音がどこからか聞こえて来る

『水、!』
 


一刻も早く涼しい水の中へ飛び込みたいという思いに駆られ、


あなたは音の源とを辿ると







鬱蒼とした竹林を駆け抜けた末に
鼓膜が震える程の轟く滝が
目の前に現れたのだ





下流に位置するあなたは大喜びで
滝壺の中へと飛び込んだ。





清らかで甘美な水は喉を潤し
再び山を登る力を彼女に与えてくれるだろう






太陽が徐々に西へ沈み始め、
雲が薄紅色になろうとしている時に


どこかで会話の声が耳の中へ入ってくる

しかし、滝の音で掻き消された



「_____さと降りんか。」
(さっさと降りんか。)



「__やく……ぜ!」
(はやく行こうぜ!)

そして一人の子が愚図る声も聞こえる

「…び、出来たよ、」
(準備、出来たよ、)


『育手さんかな』

呑気に水の中で浸かりながら首を傾げるあなたには
今から起きる事を知る術もない




『あれ、何で急に空が暗くなったのかな』





顔を上げる同時に、滝音を引裂くような悲鳴が聞こえた

『…え、?』



涙をぼろぼろ流しながら泣き叫んでいる三人の少年少女が、あなたの真上から降ってきたのである

えらいこっちゃ。

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