確かに瞳は真剣だった
でも、私たちには兄弟という壁があるのだ。
それを乗り越えることはきっとできない
スーッと気まずい雰囲気が流れる
私はエイジくんをどの立場で見ればいいか
一瞬分からなかった
帰りも無言
冷たい風が頬にあたるだけ
私の鼓動はいまだはやくはしる。
家に帰ると笑顔でツリメが迎えてくれた。
どこか元気の無い私たちを見て
少しおどおどしているツリメ
私たちはそれぞれ部屋に戻った。
私は部屋で深いため息をついた。
かき消そうとする記憶はどんどん戻ってくる
モヤモヤしていると
「コンコン」とドアをノックされた
すると、ツリメがそーっと入ってきた
そう言ってツリメちょこんと座った
と手を振りながらツリメは戻った
なんだか罪悪感があった。
凄く申し訳なかった
ツリメにもエイちゃんにも
私は小さな声で呟いた
☆☆☆
と、階段の下からでも聞こえる
いつものお母さんの大きな声
私は食卓に向かった
隣にはエイジくん。
いつも隣にいるはずなのに
今日はソワソワする
と言ったが箸が進まない
私はゆっくり部屋に戻った。
変にモヤモヤする。
☆☆☆
私はいつの間にか寝ていた
目を開けるとそこには悪魔さんが私をじっと見ていた。
私は飛び起きてしまった。
すっと私の方に近づく
私はゆっくり目を見る
やはり、嘘と思えない顔をしていた
悪魔さんを信じて考えてみようと思った。
って言ってぽんぽんと頭に触れた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。