魔法で火の灯った暖炉のある部屋は異様に静かだ。
故に、言葉の節々から滲み出る感情がよく聞こえる。
声を震わせながら、俺の伝えた事実を再確認してくるLatte。
いつもなら多少滑舌が悪かろうと声が小さかろうと一回で聞き取ってみせるLatteが、だ。
否、彼女もよく聞こえただろう。
それでいて信じたくないから、わざわざ聞き返してきたんだと思う。
普段は冷静で歳に似合わず大人びているが、
やはり身近な人の死や失踪には慣れていないことが窺える。
俯いたままの返事は素っ気なかった。
瞬きが小刻みになり、唇の震えを抑えようと必要以上に力んでいる。
めめんともりと交戦し、八幡宮が固有魔法の代償で死亡、
八幡宮の死が原因で精神を病んだぐさおが失踪した
と伝えれば、Latteは何を言う訳でもなく書類を纏め始めた。
王国側が刺客を送り、表立って敵対の意思を示した以上
一応王国中枢に所属する俺たちも敵として見られかねない、とのことだ。
ある酒場には、こんな噂があるという。
夜な夜な裏口から人が出入りし、何処かへ消えていくと。
だが翌日の朝には、誰にも気取られず元の家に皆が帰り着いているとか。
次第に噂が浸透し人々は不気味がり、近寄られなくなりその酒場は寂れてしまった。
今も営業こそしているものの、入店するのは一部の物好きだけとなってしまった。
その酒場の名は……
古酒場「リバティー」
相も変わらず重い裏口の扉を開けると、そこには多くの人たちが集っていた。
酒を楽しむ者、本を読む者、酔い潰れ机に伏している者…
こんなんだが、真面目な話の時はしっかり聞いてくれる、
歳で人を見下さない良い面々だ。
大きめの声で呼びかければ、すぐにその場が静まり寝ていた者も顔を上げた。
何かあったのかとどよめくみんなを尻目に外へ出ると…
何でここに居るんだ、と言うよりも先に、彼女から突然の申し出が。
久しぶりの本編更新が通ります











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。