第42話

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2025/01/04 00:05 更新
あなたの下の名前(カタカナ)
…結局こうなるのか…
結局のとこ、理事長という手をイルマさんが使ったことによって、半強制的に印を押すことになった
私の視界の端で薄い呼吸を繰り返し、眠っているエイトの手を握る
いつも暖かいエイトの手は、いつもに比べて随分と冷たくなってて
けれども、私の手よりも暖かいから、まだ大丈夫だろう
そう信じてる
私は正確な悪魔の生死の線が分からない
どこまで行ったらあなたは死ぬの?
どこが限界なの?
分からないよ
私自身はやり直せると知ってるから、限界を超えようが、構わない
でもあなたはそうじゃないでしょう?
だって今、水を多く被っただけで、死にかけてるもん
それでも問えないのは
問うとあなたが消えそうだから、なんて
言ったらあなたは笑い飛ばしてくれるだろうか?
私の予想だと、大真面目に考えてくれる気がする
では、なんでそんなにも儚くなってしまうの?
火というものは不安定で
形が無くて
気体でも液体でも個体でもないただの現象で
私がどうこうできるものではない
私が掬えるものでは無い
すぐに火は消えるから
どれだけの業火でも、燃えるものがなくなって、やがて小さくなり、いつの間にか消えてなくなる
循環前の記憶、段々と取り戻したんだよ
エイト
エイトが循環がどんなものかどれぐらい知ってるのか、分からないけど
循環前の私に、炎を扱う奴が近くに居たよ
そいつに力ちょっと取られたけど
エイト、あなたはどうしたい?
私みたいな変な奴と一緒に居て楽しいの?
エイトは可哀想だよ
私みたいな変な奴に好かれて
嫌だったら離れてくれてもいいのに
なんて
私みたいな変な奴と一緒に居ると、そのうち変なことに巻き込まれることになるよ
きっと
それでもいいのなら
最後まで見守らせて欲しい
なんて
強欲だろうか?
あなたの下の名前(カタカナ)
起きなよ、エイト
あなたの下の名前(カタカナ)
皆心配してるよ
イフリート・ジン・エイト
…あなたの下の名前(カタカナ)は心配してないの?
あなたの下の名前(カタカナ)
…起きたなら言えな
あなたの下の名前(カタカナ)
もちろん心配はしてるよ
あなたの下の名前(カタカナ)
でも、信じてるから
イフリート・ジン・エイト
そう…
ギュッと握っていた私の手をエイトが握り返してくる
段々とエイトの暖かさが戻ってくる
さ、私は報告しないと
ス魔ホに一通
あなたの下の名前(カタカナ)
『イフリート・ジン・エイト教員起きました』
あなたの下の名前(カタカナ)
ゲッソリしてんね
仕事終わり、リビングで足を組みながら椅子に座り、ス魔ホ片手に明日のスケジュールを確認していたら、疲れた表情をうかべるエイトがリビングに入ってくる
私はチラ、と視線をエイトに向け、すぐに視線を元に戻す
イフリート・ジン・エイト
いや…まさかあんなに心配されてるとは…
あなたの下の名前(カタカナ)
炎の悪魔に水は厳禁
あなたの下の名前(カタカナ)
蒸発するもんならまだしも、蒸発しなけりゃ、首を絞めるのと一緒だからね
あなたの下の名前(カタカナ)
結構有名な話
あなたの下の名前(カタカナ)
それを知ってる人は多いでしょ、ここ
あなたの下の名前(カタカナ)
多分そういうところなんだと思う
イフリート・ジン・エイト
なんか申し訳ないな…
イフリート・ジン・エイト
そういえば、僕に水をかけてきたあの悪魔はどうなった?
あなたの下の名前(カタカナ)
ウラルとルプスが捕らえてマルバス先生の所に突き出したんじゃない?
あなたの下の名前(カタカナ)
もしかしたら、私が息の根を止めたかもしれないけど
イフリート・ジン・エイト
え、どっち?
イフリート・ジン・エイト
前者と後者でだいぶ内容違くない?
あなたの下の名前(カタカナ)
結構私、怒りで生死の判断できてなかったからさ
あなたの下の名前(カタカナ)
しかも数が多かったし
あなたの下の名前(カタカナ)
ウラルとルプスが抑え込めなかった奴全員相手したから
あなたの下の名前(カタカナ)
覚えてないんだよ
あなたの下の名前(カタカナ)
無心で殺ってたわけだし
イフリート・ジン・エイト
怒ってたの?
あなたの下の名前(カタカナ)
色んなことに対してね
あなたの下の名前(カタカナ)
でも…まぁ、6割ぐらい、エイトに手を出されたのはあるかな
あなたの下の名前(カタカナ)
私情挟みすぎだなとは思うけど
イフリート・ジン・エイト
そっ、か
そういうと、エイトはふい、と向こうを向いてしまった
私は変な事言っただろうか?
ま、そんなことはいいか
今の私からすれば、エイトが元気になっただけで、嬉しいから
あなたの下の名前(カタカナ)
エイトが、すぐに元気になって、安心したかな
あなたの下の名前(カタカナ)
みんな、ガラス細工みたいに脆いから
あなたの下の名前(カタカナ)
壊れそうだし
イフリート・ジン・エイト
イフリート・ジン・エイト
怖かったんだね
私の前にエイトはしゃがみこむ
しゃがみこんで、エイトの暖かい手が私の頬に当たる
嗚呼、エイトだけの暖かさだ
エイトの手に染み込んだ、仄かなタバコの香りがする
あなたの下の名前(カタカナ)
あなたの下の名前(カタカナ)
怖かったよ…そりゃ…
あなたの下の名前(カタカナ)
私と同じ扱いをしちゃいけないぐらい脆いし…
あなたの下の名前(カタカナ)
その割に体張るから…
あなたの下の名前(カタカナ)
すぐ消えそうで怖いよ
あなたの下の名前(カタカナ)
ずっと
イフリート・ジン・エイト
ごめんね
わ、と声を出しそうになったのを抑える
エイトは私に抱きついてきていた
正面から、優しく
手に持っていたス魔ホを机の上に置く
あなたの下の名前(カタカナ)
仕方ないよ
あなたの下の名前(カタカナ)
そういう風に産まれたんだから
あなたの下の名前(カタカナ)
それは越えられない
あなたの下の名前(カタカナ)
分かりきってる事だよ
イフリート・ジン・エイト
うん
イフリート・ジン・エイト
頼りなくてごめん…
あなたの下の名前(カタカナ)
エイトが謝る必要は無いよ
あなたの下の名前(カタカナ)
どうしようもない事だから
イフリート・ジン・エイト
……ッわかった
イフリート・ジン・エイト
でも、僕も死なない範囲であなたの下の名前(カタカナ)に追いつけるよう頑張るから
イフリート・ジン・エイト
だから、あなたの下の名前(カタカナ)、待っててね
あなたの下の名前(カタカナ)
…待てたらね
少々静寂が空間を支配する
その間、私を抱きしめ続けるエイトの頭を撫でる
数テンポ置いて、エイトは立ち上がる
イフリート・ジン・エイト
よし、なんか落ち着いた
そう言ったエイトは、私の顔をじっと見て、ふっと笑う
どうしたんだろうか
イフリート・ジン・エイト
あなたの下の名前(カタカナ)、また明日!
あなたの下の名前(カタカナ)
うん
そう言って、去ってくエイトに向かって手を振る
向こうも元気に手を振っている
エイトが見えなくなった頃、私は立ち上がり、女子寮の方へと向かう
少し前、やけに大きく見えたバビルス常駐教員の絵がふとまた視界に入る
けど、今はそんなに怖くも、大きくもない
あなたの下の名前(カタカナ)
アレスタ
あなたの下の名前(カタカナ)
私、少しだけだけど、循環前に戻ったよ
あなたの下の名前(カタカナ)
あなたに追いつくのも時間の問題ね
あなたの下の名前(カタカナ)
大丈夫、どれだけ悲しかろうと、厳しかろうと生きるよ
あなたの下の名前(カタカナ)
循環する上で、前回もできたのだから、今回も上手くいくはず
あなたの下の名前(カタカナ)
二度あることは三度あるのだから

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