_____というか、私の苗字を聞いてもピンと来ないのだろうかこの子は。
たしかに全国大会には出場したことはないけど、
それでも私の兄の名は有名だと妹の私が自負してる。
というか、烏野と戦ったことあるんだよね?
その話も直々に兄から聞いたことはある。
日向「セッター!?影山と一緒じゃん!!」
いやそこなんだ。
あなた「全然上手くはなかったけどね笑 日向はポジションどこなの?」
日向「俺はMB!!」
あなた「!」
もしかして
兄が話してた烏野の10番の「チビちゃん」って、
日向「...って見えないよな〜笑」
日向のことなの、、?
周りを見渡してみても他に日向のような身長でスパイカーをしている人は見当たらない。
じゃあこの子が、飛雄の”相棒”で
あの変人速攻を使うんだ...!
日向「あ!そうだ!」
あなた「?」
急に何かを思いついたように
日向は立ち上がってボールを持ってきた。
日向「スパイカーって証拠に、今からあなたに俺が打ってるとこ見せたい!影山!」
影山「……あぁ。」
え、うそ。
今から見れるの?
正直言って興味はあったからちょっと見てみたいとか思ってた。
まさか日向から言ってくれるなんて。
期待を胸にコートに立った日向と飛雄を見る。
日向が飛雄に山なりにボールを投げて速く助走に入った。
だけど、助走に入るタイミング速すぎな_____
ドパンッ
あなた「え……、」
な、に今の。
日向「なんか今日いつもより飛べた気がする!」
影山「気のせいだろ。」
日向「なんだとー!あ、あなたちゃんと見てた!?」
...速すぎない???
え、もう考え事してる間にもうボール地面に叩きつけられてたんだけど???
これ絶対普通の速攻より速いよね?
変人速攻ってこういうこと?
だってこんなの、どれだけ上手い人がいたって簡単に出来る代物じゃないでしょ。
日向「……?あれ、おーい。」
あなた「あっ!ごめん!ついすごすぎてボーッとしてしまった笑」
日向「本当か!?すごい??」
あなた「すごすぎるよ……」
日向のジャンプ力の高さ
速さ
そして何よりも……
飛雄のトスの精密さ。
上手いのはずっと前から分かってた。
なのにこれほどまでとは思ってなかった。
彼の才能がちゃんと生きる場所が、ここにあったんだ。
すごいな、すごいな。
だってあの時は……
あなた「……。」
彼も私も、居場所がなかったのに。
飛雄は私が知らないところで、ずっと前から進んでいたんだ。
あぁやだな、
だから来たくなかったんだ。
本当は飛雄がもうずっと私より進んでいることは分かってたはずなのに、
今実際にそれを見てしまったら
自分の弱さをより感じてしまうから。
...なんて、何考えてるんだろう
私は彼と同じ土台にすら立っていないのに。
なに同じ立場だと勘違いしてたんだ、恥ずかしい。
そう思った瞬間今すぐ逃げ出したくなった。
あなた「ごめん飛雄、やっぱ無理だ。私帰るね」
影山「は、」
止まらないネガティブ思考に頭が支配されて
もう見てられなかった。
一刻も早く帰りたかった。
なのに飛雄は私の腕を掴んでそれを阻止してくる。
あなた「離してよ、速攻は凄かったけど私はやっぱりバレーボールは見たくない。」
飛雄「お前...そんな奴じゃなかっただろ、!いつからそうなったんだよ!」
そんな奴じゃない...
いつから...
飛雄の言葉を頭の中で復唱して呆れたように笑った。
影山「あんなに、バレー好きだったくせに...!」
好き”だった”
過去形じゃん。
多分飛雄は中学を一緒に過ごしてきて私のことを知った気になってるんだろうけど、
全然私の気持ちなんて聞いたこともないよね。
知らないからこそ、何でもかんでも相手にそう言えるのが羨ましいぐらいムカつくところでもある。
あなた「……飛雄はさ」
”私の何を知ってるの。”
あなた「……やっぱいいや、じゃあね。」
影山「おい!」
思わず言いそうになった言葉を飲み込んで
彼の手を振り払って振り向きもせずに私は体育館を急いで出た。
やっぱり、来るべきじゃなかった。
月島くんに誘われた時点ですぐ断ればよかったんだ。
そしたら傷つかずに済んだはず。
バカだなぁ、
私のバレー人生なんて、
もうあの瞬間に全てを置いてきたんだよ。
___NEXT。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。