しばらく猫を追いかけていると猫は不意に立ち止まり、私の腕へと飛び込んできた。
思わず目を輝かせながら猫を撫でる。
そうしていると、
という声と共に女の子が走り寄ってきた。
名残惜しく思いながらも、そのまま女の子の腕の中へ猫を移した。
女の子はそのまま嵐のように走って去っていった。
女の子が見えなくなるまで手を振っていたが、ハッと我に返る。
猫に夢中で、来た道なんて覚えていない。
途方に暮れ、とにかく立ち止まっていては何もならないと歩き出した。
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少し人通りが多くなったと思った矢先、男の人数人に声をかけられた。
でも一人でさまよい歩くより、この辺りを知ってるこの人達に着いて行った方が…
聞き馴染みのある声が上から降ってきたと思えば、急にグイッと肩を引かれた。
上を見上げれば彼がいた。
男の人数人は、そのまま私たちを通り過ぎて行った。
お礼を言おうとすると、ものすごい剣幕で彼に怒鳴られた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。