「う〜寒い〜」
「雪も降ってるし、雨宿りできるとこ、探さないと」
「ここホント寒いよ〜」
あたりは一面真っ白白、白色のペンキであたり一面を塗ったみたい。
毎年ここら辺はいっつもこうなる。僕が死んじゃった時もこういう時だった。
あいにく、僕はジバクレイなので雪のない遠くへ逃げることはできない。
ほんっとに寒い。ノノも、僕の上着を掛けたけど、まだ寒いみたい。
「せめて何かあったかい物があれば良いのに!」
ノノは叫んだ。僕もホントにそう思う。こうやって、走って雪を遮れる場所を探すと疲れちゃう。
だけどそんな中、辺りをキョロキョロしてる人がいた。
「あれ?こんな時に外に出てる人が…?」
僕が言うと、ノノは随分驚いてた。そりゃそうだよね。僕だってびっくりしたもん
「えぇ!?体、冷えちゃうよ。とにかく、あそこだよね?すぐに向かわないと!!」
「大丈夫かなぁ…」
「大丈夫だよ。」
僕はノノを励ますために言った。僕だって凄く心配だ。だってこんな雪の中にいるんだよ。真っ白白の寒いこの場所に!
それにしても、なんだか心臓がバクバクする。
初対面の人に話しかけるのは緊張しちゃうなぁ。あれ?そういえば…
「僕らって人じゃないでしょ?どうやって声を掛けるのさ?」
「あっ…そっか…でも、とにかく話しかけてみないと!」
ノノも僕と同じで気づいていなかったみたい。それでも、ノノは
「それもそっか。早く行こ!」
「うん!」
next story▶︎
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!