依兎は涼音に驚きの目を向ける。
涼音は焦りながらも言葉を発した。

文章の構成や内容はぐちゃぐちゃかもしれない。
だが、言いたいことは全て言い放った。

伝わってよかった…と安堵する。
ただ、依兎には伝わっていなかったことがあったらしい。

涼音か壊されたと言っているプリガルのおもちゃ。
そのプリガルが分からなかったのだ。
まあ、異世界から1歩たりとも出ない店員だから、流行りのものを知らないのも無理は無い。

「アニメの話です。」と言おうとした時。

横からぬっと夜流が出てきた。
2人きりで話していた2人は勿論驚く。

少し軽蔑を含んだ目で夜流を見る依兎。
だがその目を気にせず、「プリガルって聞こえたんだもーん。」と言うと夜流は話を続けた。

話を聞くと、プリティガール（略してプリガル）は、アイドルの頂点を目指して駆け抜けるアイドルの卵のお話らしい。
ゲームも発売され、小学校低学年〜中学年の女児たちに人気だそうだ。
そんなプリガルのアイテム、マイクを壊されたと涼音は言い張る。

さっきから「人間界」と言っていることが気になるが、会話に入れそうな雰囲気ではないので口を出すのは辞めることにした。

「はーい。」と言うと夜流は奥に戻っていく。

熱量が凄い。
壊れてしまってさぞ悲しかっただろう。


ただ──

依兎は頬に手を当て何か考え事をしている。

数十秒そのまま固まると、衝撃の言葉を涼音に告げた。