撮影は終了したがまだ編集者の人達が話していた。
早く帰って準備をしたくてソワソワする。
小声で米村君がコソッと伝えてきた。
小太郎も小声で返事をした。
急いで家に帰り明日の準備をした。
玄関には清春の靴があった。
清春の方が先に仕事を終わらせたのだろう。
久しぶりに2人きりになれる。
そう思うと楽しみで仕方がなかった。
弾む気持ちを胸に眠りについた。
ピピピピピピ ピピピピピピ
2つの部屋からスマホのアラーム音が鳴った。
ぴょんっと起きて清春の部屋に走っていった。
アラームが鳴り響いている部屋で眠っている清春に飛び乗った。
朝から異常なほどテンションが高い小太郎。
どれだけ楽しみにしていたかがわかる。
すぐに準備をして家を出た。
2人きりになりたいということもあり、清春の運転で移動することになった。
真剣に運転する清春の顔に小太郎は見とれていた。
到着先は名の知れていない小さな水族館。
人にバレないように付き合っている2人にはぴったりの場所だった。
予想していた通り駐車場はスカスカ。
これなら人目をあまり気にせずに2人でいられる。
平日だったというのもあり、指折り数えられる程度しかいなかった。
けど、思っていたよりも中は綺麗だった。
自由に泳ぎ回る姿に見とれていた。
青いライトに照らされた小太郎の顔は、まるで子供のようだった。
大きな目をキラキラ輝かせていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。