翌日俺は遊園地にいた
首に遺骨ペンダントをつけて
乗り物には乗らない
ただベンチに座ってクレープを半分食べた
その翌日は家にいた
ずっと前にお揃いであなたの下の名前が勝手に買ってきたマグカップにコーヒーを入れた
映画を借りて見た
その翌日は山に昇った
山に昇って一日中そこにいた
またその翌日はあなたの下の名前の実家に行った
規制線は外されて解体工事が進んでいた
ただ一礼だけして東京に帰った
そしてその翌日、海に行った
ポケットから指輪ケースを取りだした
あたかも横にあなたの下の名前がいるかのように振舞った
傍から見たらおかしな奴だろう
だけど渡さずにはいられなかった
返事を待たずにペンダントに指輪を2つ通した
その時晴れているはずの空から雨が零れた
そう次は空に向かって言った
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。