第16話

市川レノに甘やかされる(2)
296
2024/08/05 05:21 更新
ぴこん。




こんな時間に連絡?
そろそろ消灯。
寝ようと準備をしていた時のことだった。



端末を開くと連絡はあなたさんから。


あなた
さっきはありがとう!
お礼のことなんだけど
非番の日、被ってたら出掛けない?
市川
ぜひ行きたいです!
今週は水曜と日曜が非番です
あなた
日曜!私も非番だ!
基地前に11時でどう?
市川
OKです!
よろしくお願いします
あなた
お気に入りのお店に
連れて行かせて!
返信しようかなと思ったが、消灯の時間が来てしまったのでやめておく。


あなたさんのお気に入りのお店に連れてってもらえるのは光栄だ。日曜、楽しみだな。
日曜日。
11時基地前。



「おっはよう!レノ!」



「あなたさん、おはようございます!私服初めて見ました、可愛いです」



「えぇーありがと!照れる!」



サバサバした感じだからカジュアルな私服なのかと思っていたが、フリルのついた甘い印象のスカートスタイルでやってきたあなたさんを見て、本音が漏れる。



「レノは格好いいよ!」



「あ、あざっす!」



自分が可愛いと言ったから言ってくれたであろう褒め言葉に照れてしまう。余裕が欲しいな。大人の余裕。




「きょう、どこ行くんすか?」




「着いてからのお楽しみ!って思ったけど、レノ音楽好きだよね?」




「好きです!何でもききますね」




「良かった!メジャーバンドだけじゃなくて、インディーズのいろんなCD取り扱ってる中古ショップが近くにあるんだよね、そこ、行こうと思って」




「まじすか!めっちゃ楽しみっす!」




「そういえば、きのうの訓練で久しぶりに解放戦略上がったの!微々たるものだけど」




「そうなんすね!まだまだ、上がるかもしれないっすよ、あなたさん頑張ってますから」




「ありがとう」




日々の訓練の話をしていたらすぐに目的地にCDショップに着いた。
アメリカンな雰囲気の外装がおしゃれな店だ。




「視聴コーナーで全部試しにきけるから、いろいろきいてみて!」




「はい!いいのあったら共有します」




「ありがと!私もレノが好きそうなのあったら教えるね」




中に入ると邦楽から洋楽までさまざまなジャンルのCDで埋め尽くされていた。
最近は配信や動画サイトでばかり音楽をきいていたが、たまにショップに来ると楽しいな。




俺はひとまず洋楽のロックコーナーから見ていくことにした。

洋楽コーナーを一通り見て、欲しいCDをいくつか見つけた俺は、あなたさんを探す。



店内を見渡すとあなたさんは視聴コーナーにいた。後ろから近付くが、気が付かない。



ふと、何をきいているのか気になって、音漏れをきこうとあなたさんがつけているヘッドフォンの近くに耳を寄せる。




『〜過去を背負わないで〜未来に怯えないで〜今を生きて〜』



男性のシャウト気味の声が歌い上げていた。



「いい歌っすね」



思わずあなたさんに声を掛けた。



「えっ?!レノ?!わ、近っ!」



「あっすみません」



距離の近さに驚いたらしいあなたさんはヘッドフォンを外そうとするが、首元にヘッドフォンのコードが絡まってしまっている




「コード、絡まっていますよ」



そう言って首元に手を伸ばして絡まったコードを解いていく。




「レノってさ、たまに距離感が近いよね」



「え?そうすか?すみません……」



「嫌なわけじゃないんだけど、誰にでもは良くないよ」




「あなたさんだからっす」




「え?」




「誰でもじゃないってことです」




自然と距離感が近くなっているのは自分でもわかってる。
できればもっと、近づきたいと思っているから。

プリ小説オーディオドラマ