第16話

:甘えてみたかった
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2024/04/29 03:56
与謝野晶子
与謝野晶子
あなたの下の名前じゃないか……、って!
与謝野晶子
与謝野晶子
どうしたんだい、その足!
私は血の流れる足を引き摺りながら探偵社の扉を開くと、私に気付いた与謝野さんが慌てた様子で駆け寄ってきた。
あなた
少し……、不意討ちされました……
与謝野さんは私を軽々と持ち上げ、姫抱きする。
あなた
!?
与謝野晶子
与謝野晶子
おや、あなたの下の名前は思ったよりも重いね
あなた
云わないでくださいッ!///
与謝野晶子
与謝野晶子
嘘々(笑)
与謝野晶子
与謝野晶子
アンタは普通体型だよ
与謝野さんは男前に笑うと、私を医務室まで連れて行った。
与謝野晶子
与謝野晶子
さてと、あなたの下の名前?
与謝野晶子
与謝野晶子
普通に手当をするだけか、それとも
与謝野晶子
与謝野晶子
アタシの確実に完治する治療を受けるか
与謝野晶子
与謝野晶子
どっちが良いィ?
寝具に私を座らせてからの第一声はそれだ。
あなた
普通に手当してくださ
与謝野晶子
与謝野晶子
今回は特別コースで行こう!
私は何時の間にか与謝野さんの手によって寝具へ固定されており、目を開けば与謝野さんの不気味かつ綺麗な笑顔しか瞳に映らなかった。
あなた
ゑ、
チェーンソーが自分の眼前迄迫ってくる。
あなた
ちょ、待ッ!
与謝野晶子
与謝野晶子
心配しなくて良いさ
与謝野晶子
与謝野晶子
人は許容量を超えた恐怖と痛みを得ると気絶するからねェ!
ふと思い出した。
与謝野さんは"男尊女卑が嫌い"だという事を
あなた
女でも容赦無かった……
与謝野晶子
与謝野晶子
ほら、怪我が綺麗になったじゃないか
与謝野晶子
与謝野晶子
傷痕が少しでも残っていたら、太宰や敦に何て云われるか想像したかい?
あなた
……、有難う御座います、女神様
与謝野晶子
与謝野晶子
其れで良いんだよ
与謝野さんはカラカラと軽く笑うと、私の頭をそっと撫でた。
与謝野晶子
与謝野晶子
詳しくは知らないけど、どうせあなたの下の名前の事さ
与謝野晶子
与謝野晶子
"兄さんに迷惑掛ける"とか思ったんだろ
あなた
ギクッ……
先程の笑みとは打って変わって哀しそうに溜息を吐く。
与謝野晶子
与謝野晶子
アンタは人を頼りな
与謝野晶子
与謝野晶子
何時か失くなってしまうなら、あるうちにたんと甘えとけ
あなた
……そう、ですね……
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
あなたの下の名前さんが怪我したって本当ですか、与謝野さん!
扉を勢いよく開き、肩で息をする男性は潤一郎さんだった。
ふと、違和感を覚える。
与謝野晶子
与謝野晶子
何で、アンタが知ってんだい?
与謝野さんが違和感を口にし、私を庇うようにして前に立つ。
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
何でって、足を引き摺るあなたの下の名前さんが見えたからで……
あなた
……潤一郎さんは私の事、あなたの下の名前"さん"だなんて呼ばない
そう云った途端、潤一郎さんではない"誰か"が目を見開き、不敵な笑みを見せた。
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
……矢っ張り、あなたの下の名前ちゃんは兄妹揃って凄いね!
ニコライ・ゴーゴリ
ニコライ・ゴーゴリ
まさか、私の演技を見破るとは!
ニコライ・ゴーゴリ
ニコライ・ゴーゴリ
其れに、女医さんも感が鋭いね!
にこにこと勝手に話を進めるニコライは何処か狂っている。
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
済みません、依頼で怪我をしてしまって……
申し訳無そうに項垂れながら医務室に入ってきた潤一郎さんを、私は心底気の毒に思った。
皆さん、GWは何して過ごします?
私は友達と謎解きイベントに行きます。
馬鹿な主なんで、一問も解けないと思いますけどね……
また次回

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