第15話

【15】
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2024/06/25 04:06
歓迎会が終わり、ヘロヘロな基くんは横原くんがタクシーで一緒に、ほかのメンバーは電車でみんなで帰ることになった。

基くんは横原くんの肩を借りてなんとか立てるくらいだ。

あなた
じゃあ横原くん、お願いね
横原
もちろん、任せとけーい
あなたの下の名前、じゃあまたね

ぽん、と頭に手を置かれて、わしゃっと髪の毛を撫でていった。

どうしてこの人は不意打ちなんだろう。

こんなことをされてときめかない人がいるだろうか。

一部始終を見ていたメンバーからどよめきが起きる。

横原
何やってんの、もういくぞ
そのままタクシーに押し込められていった。

松井
俊、やっぱりあなたの下の名前ちゃんのこと…
佐藤
え、何??


みんながざわつく中、黙り込んでいるメンバーが1人。



椿
かげ、大丈夫?
影山
…ああ、うん
鈴木
え、もしかしてかげも?
佐藤
ねえ、何が??
松井
あらた、後で教えてあげるね
影山
いや、なんでもねーよ、ちょっと飲みすぎてぼーっとしてるかも。
ほら帰るぞ。


きっと基くんはいろんな女の子に同じことをしているんだろうし、期待してはいけない。




しばらく歩いてみんな落ち着いてきたころに、かげが話しかけてきた。

影山
今日楽しかった?大丈夫だった?
あなた
うん、おかげさまで楽しかったよ!
ちょっと基くんのはびっくりしたけどベロベロだったもんね、酔っぱらってただけじゃない?
影山
そっか、あなたのあだ名が大丈夫ならよかった…
あんなにいつもにぎやかなかげが、その会話の後何もしゃべらなくなった。

何かしゃべらなければと思っても何も浮かばず、そのまま沈黙が続いた。

駅チカのお店だったはずなのに、やけに遠い。





深夜だからか、かなりスピードを出した自転車が後ろから近づいてくる。
影山
あ、自転車、あぶない
あなた
わ、ありがと
声をかけてくれたおかげですぐ気づいて歩道側によけた。



2人の後ろを歩いていた奏、新は、咄嗟に影山があなたの苗字の背中に手を伸ばしかけたが、触れずに悲しくおろされる手を見ていた。



新もようやく察したように、奏と顔を見合わせた。

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