自然災害とは誰も予想がつかないもの
何年後に大規模地震が来る、そういう預言者はいる
だが、ほとんどのものがそれを信じていない
そして、世界で一番地震が多い国、日本
地震が多いことにより、地震に対しての恐怖心が薄れている
それが、最悪への未来へと繋がっているとは知らずに
今日もいつもの日常を過ごそうとする
相澤先生の授業を受けている俺は、ノートにペンを走らせていた
この前席替えをしたばかりだが、なんの偶然なのやらカルマが隣になってしまった
そういうカルマはというと…
綺麗に爆睡をかましている
それも、殺せんせーが雑談で教えてくれた疲れない寝方である
教師なのに何故それを教えたのは分からない
教えない方が良かったんではないだろうか
寝ているカルマを見てそう思う
その時、突然地面が揺れ出した
相澤先生の黒板に走らせていた手も止まり、教室に緊張が走る
地震は治るどころかどんどん揺れが大きくなってきているように感じる
相澤先生の言葉にいっせいに机の下に潜る
この緊張感の中、流石に寝ることはできないのかカルマはいつの間にか起きていた
丸顔の個性は無重力だから、何かあった時に浮かせられるのは地震で役立つだろう
心の中に不安が募る中、揺れはドンドン大きくなっていく
幸いこの教室は個性に対応しているし頑丈だが、後ろのロッカーが空き、中身が崩れ出す
だがそんなこと気にしていられる暇もないほど揺れが強い
机にしがみつくので精一杯だ
轟は地面と机の足を凍らせて固定している
今回の地震は縦揺れ
被害が大きくなることが予想される
数分後
揺れが治ると、まず相澤先生が机の下から出た
相澤先生が言った通り、蛍光灯の破片に気をつけて教室を出る
先生たちの呼びかけを耳に入れながらできるだけ急いで運動場へ出た
点呼の結果、怪我人はおらず、全員無事だということが分かった
元E組や、俺らの家族はしっかり準備をしていたことによって助かった
ただ、この地震は586人の死者、420人の行方不明者を出す大災害となった
その半数が、地震に備えていなかったという
皆さんも、もう一度見直してみてはいかがだろうか?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。