第8話

古里の話②
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2025/03/26 08:00 更新
クロコダイル
クロコダイル
なぁ、ノア
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
ん?
クロコダイルのオフィス。
相変わらずノアはロジャーを抱えながら、クロコダイルの机の前でお茶を飲んでいた。ダズ(Mr.1)は壁際で腕を組んで無言を貫いている。
クロコダイル
クロコダイル
……この間も言ってたが、お前の地元は本当に奇妙な処だな。
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
またその話ですか?
クロコダイル
クロコダイル
お前の話を聞くたびにそう思うんだよ。
クロコダイルは呆れたように葉巻をくゆらせた。
クロコダイル
クロコダイル
この前の“7歳までは神のもの”の話もそうだが、他にもあるだろ?聞かせろ
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
うーん……
ノアは少し考えた後、ぽんっと手を叩いた。
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
じゃあ、『トイレの花子さん』の話とかどうです?
Mr.1
……トイレ?
ダズが微かに眉をひそめる。
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
ええ。地元の学校には、3番目のトイレの個室に“花子さん”っていう幽霊がいるって噂があるんです!
クロコダイル
クロコダイル
…………
クロコダイルは無言で葉巻をくわえたまま、ノアを見つめる。
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
花子さんのいる個室の前でノックして、『花子さん、いますか?』って聞くんです。
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
すると、誰もいないはずの個室から……





ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
『はい』って返事が返ってくるんですよ!!!
クロコダイル
クロコダイル
…………
Mr.1
…………
クロコダイルとダズは沈黙したままノアを見つめる。
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
で、そのまま扉を開けると、花子さんがいて、連れて行かれたり、襲われたりするんです!恐ろしいですよね〜


ダズが静かに腕を組み直した。
Mr.1
……なぁ、ノア。
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
うん?
Mr.1
地元では……その話を普通に子供がするのか?
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
もちろんですよ! トイレの花子さんは学校の七不思議のひとつですからね!
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
こういう類はオカルトと言うのですが、人の口や掲示板とかで知ってしまうので必ず誰かに聞いたわけでは無いですがね♪
クロコダイル
クロコダイル
……いや、待て。

クロコダイルはゆっくりと言葉を選びながら呟いた。
クロコダイル
クロコダイル
幽霊が出るとわかっているトイレがあるのに、なぜそこを使う?
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
ん?
クロコダイル
クロコダイル
そこを避けようとは思わないのか?
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
うーん……でも、学校のトイレって数が限られてますし……
クロコダイル
クロコダイル
……じゃあ、花子さんの噂があるトイレは“使わない”ことになっているのか?
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
いえ、普通に使いますよ?


クロコダイルとダズが無言で顔を見合わせる。


クロコダイル
クロコダイル
……地元の人間共は、幽霊がいる場所でも普通に過ごすのか?
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
そうですね! あ、そういえば、家のトイレにも“べんじょばばぁ”っていう妖怪がいるんですよ!
クロコダイル
クロコダイル
……ベンジョババァ?
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
はい! トイレを掃除しないで汚くしてると、“赤い紙がいいか、青い紙がいいか?”って聞いてくるんです!
Mr.1
…………
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
で、赤い紙って答えたら血まみれにされて、青い紙って答えたら血を抜かれて真っ青にされるんですよ!
クロコダイル
クロコダイル
…………

クロコダイルはノアをまじまじと見つめ、そして深いため息をついた。
クロコダイル
クロコダイル
……ノア、お前の古里のトイレ呪われすぎていないか?
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
まぁトイレの数だけ未知の存在が近くにいる感覚ですね〜
クロコダイル
クロコダイル
イカれてんな
Mr.1
…………

ダズは静かに考え込んだ後、ぼそっと呟いた。
Mr.1
……トイレに入るたびに命懸けなのか?
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
そうは言いませんけど……まぁ、油断はできませんね!(存在を見るために!)
ノアはオカルト大好きなのである。


ロジャーはノアの膝の上で小さく言葉を吐く。
ロジャー
ノア……お前ほんとに怖ぇな。
ペルシェ・ノア
ペルシェ・ノア
え、解せぬ

こうして、またバロック・ワークスの一日が過ぎていくのであった――。

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