(おんりー視点)
🐷「ん???」
まだ涼しい春の生徒玄関。
MENはカチャっと下駄箱のロッカーを開けると
突然なめらかな筋が通った手を止めた。
今日も通学路で会って
喋りながら歩いてこうして登校して
"いつも" をするはずだった。
イレギュラーが起こりやがった。
日常が崩れる、嫌な、予感。
🍌「どしたん???」
🐷「いや...手紙? が入ってた」
🍌「え~、読んでみろよ」
桜色の封筒を見た瞬間に察する。
よく少女漫画か何かに出てくる
"ラブレター" だった。
女子らしい、整った丸文字。
告白と放課後に返事を乞うという
テンプレな内容だ。
🍌「行ってみれば???w」
🐷「まぁ、そうするか」
🐷「じゃあ、今日は先帰ってて」
俺はただ幼馴染を冷やかすだけの
そんな言葉のつもりだった。
MENだって自分に対してそう思ってると
俺は思っていたのに。
MENはムツカシイ顔をしていた。
先帰っててに対して「わかった」とも
ムツカシイ顔に「受けるつもりなの」とも
訊けなかった。
MENは優しいから
傷つけないでどうやって振るかって
考えてるんだって、
自分に言い聞かせた。
そして明日からまた同じ日常だと
...信じていた。
🍌「で、昨日どうだった」
🐷「あー」
断ろうと思ってたんだけどさ
俺にコクった子の顔見たら
振るのすっげぇ可哀想になっちゃって
とりあえず、もうちょっと待って
って言っちゃった 笑
🍌「ほーん...」
...
そして、
🐷「俺、あの子と
付き合ってみることにしたわ」
🍌「めでたいなw」
振るんじゃなかったのかよ
心の中で言葉が渦巻いた。
先を越された感???
ってこんな感じなのかな。
🍌「俺とも遊べよぉ???」
🐷「ハイハイ」
🐷「はぁー、幸せ幸せ」
満たされた顔のMENの横で、
俺はどんな顔をしているのだろう。
ーーーー__To be continued...__ーーーー
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!