昨日の夕飯時と同じように、私の上へと
馬乗りになり起こしてくる鬼の子。
今の時刻はまだ13時頃。吸血鬼は寝る時間。
鬼の子に叩かれた頭を押さえていると
小さい声で、よかった……と聞こえた。
何がよかっただ。こっちは痛いんだぞ。
というか寝起き。
吸血鬼についての本を読むのにハマっている
鬼の子はすごくめんどくさい。
起きて!と布団から引っ張り出された。
嫌過ぎて立ち止まってたら 階段から落とされた。
ドコドコと音が鳴って転げ落ちた。痛い。
白い髪を鬼の子に踏まれて痛かった。
シスターがひょこっと顔を覗かせ、
倒れてる私を見て手を差し伸べてくれた。
優しいのシスターだけだよ。
だから何?
鬼の子が私を急かすから それに釣られるよう
足を動かした。
鬼の子の肩をつつくいなみ。
シスターといなみ、鬼の子は集合しており、
狼男だけいなかった。
仲間はずれにされてるじゃん。
「師匠とかいるんだ」とわざとらしく頷く
鬼の子がバカそうで面白かった。
死ぬのがいちばん怖いんだから。
不老の吸血鬼にとって 死とは何よりも恐れるもの。
師匠は私と同じく赤い目で白い髪。
強いし、吸血鬼が苦手とするもの全て克服済み。
不老不死だしで本当の強者とはこの事だと思う。
私は日光が苦手だし朝も起きられない。
下位互換過ぎて天使も悪魔もびっくり。
玄関まで手を引っ張られた。
鬼の子はすぐ手を引っ張ってくるから鬱陶しい。
伊波が玄関の扉を開けた。
外に出て日傘を差して私の手を引っ張った。
空が光っていて眩しい、開かない目を無理やり
開けて太陽を見た。
私がいなみの隣を歩き、その後ろを鬼の子と
シスターが並んで歩いた。
馬車が複数走る道を歩くのはほとんど初めてだ。
いなみたちの家に来た日はこんな大通りを
通らなかったし、この辺にはあまり詳しくない。
元々は魔界に住んでいたものの、
師匠の気まぐれで人間界に移住した。
だから人間界とか全然知らない。
魔界で悪魔と出会い、契約を結んだ。
そして人間界に舞い降りる際に天使と出会い、
チャームをかけた。
そして私が生まれたって訳。
向かっていた市場には屋根が着いていて
日傘を差す必要はなくなった。
見た事のない物が沢山あってびっくりした。
外は赤いのに中は白っぽい果実や
緑の長い食べ物。
魔界では見たことの無いものだらけで
心が踊りに踊った。
私がシスターの手を取ると、シスターは
一目散に走り出した。
突然のことで声も出なかったキョンシーたちは
私たちの背中を見ることしか出来てなかった。
目的地が近くなったのか、急にゆっくり
歩き出すから シスターの背中にぶつかった。
鼻が折れるかと思った。
古く昔からありそうな外観をしている店。
中には客があまりおらず、匂いは臭かった。
こんなとこに美味しい物があるなんて
嘘をついているに違いない。
窓際の席につき、メニュー表を見せてくる。
どれが美味しいとか分からないし、
適当に一番大きく記されているやつにした。
なんか黒いやつ。
店員を呼んで、私の分も頼んでくれた。
窓から入る光が私を照らしている。
窓越しだから死なないのかな、日光を浴びても
死ななかったらいいな。
そしたら人の血を吸い放題。
この人はいちいち鬱陶しい。
窓から見える湖を眺めながら
早く料理が届かないかなと首を長くした。
湖にサインをするよう泳ぐ白鳥を
目で追っていると、皿が机に置かれた音がした。
ようやく到着したのか、と料理に目をやった。
皿の上に置かれたフォークを取って
目の前の黒いやつに刺した。
上部分は白いのに横と中は黒くて不思議。
これは何?
口にそれを含んだ瞬間に、
苦さと甘みが味覚を支配した。
人間の血液ほどは甘くないけど、口に残る
甘さがあって後味すらも印象が強かった。
そう言えばシスターは目を見開き、
驚いたような表情を浮かべた。
目の前で目を輝かせるあなたさんは
今までに見たことがない表情をしていて、
口角は少しだけ上がっているのに加え、
頬が赤らんでいる。
この子ってこんな顔するんだ……。
という驚きと共に、
という疑問が浮かんだ。
いやもちろん可愛かったけど。
運命を感じたから好きになったのはそうだけど、
今この瞬間、あなたさんを根っから好きになった
気がする。
人間界に来て時間が経っていないのか
気を遣うということが不得意なところが好き。
なんでも素直に言っちゃうところとか、
今俺の目の前でかわいい顔をしてるところが好き。
食べるのが下手くそで口元にたくさん
クリームが付着してるのも可愛い。
こんなに可愛い表情出来るんだ、あー、やば好き。
生きているのかを疑うほど白い肌は
赤く染っていて、死んでいる目にハイライトが
入っている。
こんなに可愛い生物いるなんて聞いてない。
俺以外の物にならないで欲しい。
俺が注文したモンブランを口に含んで
幸せそうにするあなたさんは本当に愛らしい。
あなたさんが他の人の目に触れるくらいなら
太陽の光に当たって死んで欲しいな。
今ここで一緒に死んじゃおうかな。
それくらい愛おしい。
好きなんて言葉じゃ軽すぎて表せない。
それくらい好き。
俺を睨み付けてくるところも好き。
全部好き。大好き。
まだお会計を済ましていない俺を置いて
店を出て行ってしまった。
自分勝手なところは直して欲しいけど
そこもあなたさんのいい所ではあるよね。
お支払いを済ませてあなたさんの後ろを追った。
面白くなかったゴメン(n回目)
次は絶対えんす出せる!!!!!!
約束ですこれ。

ゅたんぽさん、ゐさん、るねさん
スポットライトありがとうございます!🐙🐙












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。