〜あなたsaid〜
授業が終わり、先輩のクラスへ向かったときに偶然聞こえた。
どうやら私の話をしているようだ。
てか、今私のこと好きか聞いてなかった?
誰に聞いてたんだろ?
そう思っていたがすぐわかった。
そう、私が1番好きな人
あーるん。先輩が、言っていた。
今すぐにでもその場から逃げ出したかった。
しかし、先輩に見つかってしまった。
気まずくなるのは嫌だったから、嘘をついた。
手を固く握って涙を流すことを我慢した。
いつもは先輩と話したいと思うのに、
今日はどうしても話したくなかった。
そばにいたくなかった。
そう言って泣きながら先輩の教室を出た。
最近仲がいいからもしかしたら好きって言ってくれるかもとか思っていた私が馬鹿だった。
先輩は私のことを恋愛対象としては見てくれていなかった。
私はそれが悲しくて、悔しくてたまらなかった。
多分、私の顔はぐちゃぐちゃだろう。
こんな顔誰にも見られたくないな、
なんてことを思っていた。
しかし、そんな願いが叶うわけなく
聞き覚えがある声が私の名前を呼んだ。
ぽち先輩がこっちに来てる。
そうわかった瞬間、走って逃げてしまった。
でもぽち先輩の足に勝てるわけがなく、
私との距離が数メートルあったのにすぐに追いつかれてしまった。
話そうかどうか正直迷った。
ぽち先輩は私があーるん。先輩のことを好きということを知っているため、
変に嘘はつけない。
しかし、正直に話せばあーるん。先輩を責め立て事情聴取をするかもしれない。
あーるん。先輩に迷惑をかけたくないから、
正直に話すことが怖くて出来ない。
どうしようと考えていたため、少しの間沈黙が続いた。
そんな状況を切ったのは、ぽち先輩だった。
そう言ったけど、
この学校に入学してからはそうかもしれない。
ぽち先輩の目はいつも優しい。
しかし、今日は違う。
ハイライトがない。
優しさがない。
いつになく真剣な眼差しだった。
私はこれが怖くて、話すことにした。
ぽち先輩と会う前から泣きそうだったのに、
思い出したら涙が溢れて止まらない。
止めたくても止めれない。
あぁ、私こんなにも先輩に依存してたんだな
そんなことを思っていた。
すると、急に視界が暗くなり、温もりを感じた。
何が起きたかわからなかった。
しかし、すぐにわかった。
ぽち先輩に抱きしめられていた。
そう言ってぽち先輩は私から離れた。
そして、頭を撫でてくれた。
そう涙を流しながら言ってくれた。
応援されてるとわかった瞬間、こんなところで終わらせられないと思った。
だからこそ、成功させないとと改めて思った。
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アンケート
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長い方がいい
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!