ときは流れ、22歳
あの会話をした日以降も、その前も、その時も、
俺は一回もありがとうなんて言わない
太宰も、そんなこと言わない
でも、その距離感が丁度良くて、俺たちは、これくらいが丁度いいんだって思った
____一本のボイスメッセージが届いた
最近の俺はどうにもやる気が出ずに、
真夜中に外へ出て、星を見上げることが多くなった
彼奴の使っていた執務室へ続く廊下を歩いたり
飯を振舞ってやった、暮らしていた部屋に行ったり
歩きながら、座りながら、ボイスメッセージに耳を傾ける
このメッセージだけだ
あの馬鹿の声が聞けるのは
彼奴の言葉が蘇る
_______________ありがとう、中也
嘘つきの声が聞こえる











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!