第39話

【青 春編】15 「大丈夫やから」
50
2025/06/13 12:02 更新
狐社 空樹
ごっめ~ん! 間に合ったぁっ!
緋狼 紅星
遅いよ空樹、もう教室着いちゃったって
あっはは、ごめんごめん……と空樹は笑いながら教室に入っていく。
高音 聲
チャイム鳴っちゃうって、ば~!!
後ろからけたたましい足音がして、聲が頭突きの勢いで迫ってきた。
狐社 空樹
今日実験でしょ? 頑張れる~!
高音 聲
しかも午後、ないようなもんだし!!
兎白 紫月
? なんかあるんやっけ
緋狼 紅星
合同授業だよ、一組とのさ
高音 聲
そ! 音と一緒!
狐社 空樹
えーめっちゃラッキー♪
さっきまでの急ぎようはどうしたものか。
懇切のんびりと駄弁りながら席に着く。
チャイムが鳴ると、席を離れていた者はぱたぱたと自席に戻っていって、号令が起立を促した。
緋狼 紅星
四時間目も妙に空怪しいなぁとは
思ってたけど……
狐社 空樹
雨降ってきたんだけどー! 最悪!
空樹がじめついた空気で肌に貼り付いてくる髪を、うざったそうに退けた。
高音 聲
まーまー、今日はそういう予報だったし
兎白 紫月
傘持ってきとるんやからええやん
そうだけど……と不機嫌そうな空樹を、紫月と聲が窘める。
水無月 音
よっ
体育館に入る直前、音が聲の肩を叩いた。
高音 聲
音! やっほー
構いもせずに抱き着こうとする聲を、音が片手で制した。
「ただでさえ湿度高いんや暑苦しい」
と言いたげな目をしている。
高音 聲
えっとー……ごめんじゃん(´・ω・`)
ぱっとお手上げポーズで謝る。
緋狼 紅星
あっ、そういやさー
……と。
紅星が体育館に足を踏み入れ、話を切り出した瞬間。


ぴかっと、外が派手に光った。
数秒後_____

ピシャーーーーーーーーーーーン!!

雷鳴が五人の鼓膜を震わせた。
ヒッ、と声にならない小さな悲鳴を聲が出し、ひしと音の背中にしがみつく。
肩は震え、唇を噛み締め、顔を青ざめさせて。
水無月 音
……大丈夫、大丈夫やから
高音 聲
やだ……ッ……やだ……むり……ッ
あの聲からは想像もできないほど、か細い呟きが漏れる。
水無月 音
とりま、中入ろや
こくり、と聲が幼い子供のように頷いた。
用意されていたパイプ椅子の一つに腰掛けると、音は口をゆっくりと、言葉を選ぶように開いた。



高音 聲
聲な、双子の妹を……亡くしとるん、よ



プリ小説オーディオドラマ