あっはは、ごめんごめん……と空樹は笑いながら教室に入っていく。
後ろからけたたましい足音がして、聲が頭突きの勢いで迫ってきた。
さっきまでの急ぎようはどうしたものか。
懇切のんびりと駄弁りながら席に着く。
チャイムが鳴ると、席を離れていた者はぱたぱたと自席に戻っていって、号令が起立を促した。
空樹がじめついた空気で肌に貼り付いてくる髪を、うざったそうに退けた。
そうだけど……と不機嫌そうな空樹を、紫月と聲が窘める。
体育館に入る直前、音が聲の肩を叩いた。
構いもせずに抱き着こうとする聲を、音が片手で制した。
「ただでさえ湿度高いんや暑苦しい」
と言いたげな目をしている。
ぱっとお手上げポーズで謝る。
……と。
紅星が体育館に足を踏み入れ、話を切り出した瞬間。
ぴかっと、外が派手に光った。
数秒後_____
ピシャーーーーーーーーーーーン!!
雷鳴が五人の鼓膜を震わせた。
ヒッ、と声にならない小さな悲鳴を聲が出し、ひしと音の背中にしがみつく。
肩は震え、唇を噛み締め、顔を青ざめさせて。
あの聲からは想像もできないほど、か細い呟きが漏れる。
こくり、と聲が幼い子供のように頷いた。
用意されていたパイプ椅子の一つに腰掛けると、音は口をゆっくりと、言葉を選ぶように開いた。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。