生徒会室からの帰り。この前初めて来た高等部。
_____また、あの人に……。
と、噂をすればなんとやら。
藤色交じりのふわっとした白髪の生徒が前から歩いてくる。
向こうもこちらに気が付いたのか、ラフに手を振ってきた。
ぺこりと会釈を返す。
一週間ほど前。
中等部生徒会室。
蘭が顔の前で、ぱしっと手を合わせる。
紫天は重い腰を持ち上げて、蘭から茶封筒を受け取る。
逃げ道が完全になくなった紫天は、がっくりと肩を落として生徒会室を出て行った。
面倒だといえば面倒だが、高等部はすぐ隣。
それでも一度は外を介さないといけないので、やはり面倒
である。
裏庭を使うと近道になる、と誰かから教わったが、紫天に
とってそれは間違いだったかもしれない。
見覚えがあるようなヤンキー共が、紫天の行く手を阻んだ。
鈍い音がして、拳が紫天の肌にめり込む。
紫天は顔色一つ変えずに、地面に転がった。
次の喝を入れようと振り上げた拳を制止したのは、少し訛りのかかった声だった。
くすくすと、手のひらで転がして遊んでいるように笑う彼。
〝玩具〟を手放さざるを得なかったヤンキー二人は、それだけ吐き捨てて去って行った。
声を掛けてきた彼は、紫天に手を差し伸べ立ち上がらせる。
『彼』_____兎白紫月は、そう心配そうにしながら、紫天の制服についた土を払い落とした。
少し困ったような顔をした紫月は、側に落ちていた茶封筒を手渡す。
二人目やね、と紫月は紫天の髪についた葉をつまんだ。
紫月は踵を返して、高等部の校舎に入っていった。
聞くの忘れたわ、と紫天は仕方なく歩き始める。
少しだけ赤くなった頬を隠そうとしながら。
変色した肌に気付きもせずに。
紅星は何気なく、手を振ったことに疑問を持つ。
紅星は紫月の様子を見て、不安げに呟く。
紫月はまだ言いたげだったが、後ろから迫ってくる盛大な足音を感知して、口をつぐむ。
紅星以外に言えるわけがない。
「紫天は_______________ 」
なんて。絶対。










編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。