アビス襲来まで。
残り2日。
支部では。
全ての部隊が動いていた。
情報収集。
避難計画。
戦力再編。
できることは全てやる。
だが。
誰もが分かっていた。
時間が足りないのだ。
作戦室。
大量の資料が机に並ぶ。
過去の記録。
古い報告書。
Sクラスに関する断片的な情報。
しかし。
有力な弱点は見つからない。
ばぁうが資料を閉じる。
何冊目かも分からない。
らいともため息をつく。
空気が重かった。
第七部隊専用の部屋に、支部長が入ってきた。
その手には古びたファイル。
かなり古い。
紙も黄ばんでいる。
全員が顔を上げる。
支部長はファイルを机へ置いた。
静かになる。
ページが開かれる。
そこには。
一枚の写真。
巨大な黒い魔獣。
アビスによく似ていた。
ちぐさが呟く。
支部長は頷く。
そして。
次のページ。
そこには。
手書きのメモが残されていた。
『核を破壊できず失敗』
『外殻は攻撃をほぼ無効化』
『実質、能力を使っても攻撃は無力』
『対応できる可能性のある能力及び能力者なし』
全員が読む。
そして。
らぴすが止まった。
ある一文で。
『内部へ届く高圧縮攻撃が有効と思われる』
高圧縮。
内部。
らぴすは黙る。
会議後。
屋上。
夕方。
らぴすは一人でいた。
風が吹く。
考えていた。
もし。
もし本当に。
自分の能力が必要なら。
その時は。
振り返る。
ばぁうだった。
続いて。
ぷりっつ。
ちぐさ。
らいと。
莉犬。
結局全員来た。
らぴすが笑う。
自身の兄だからだろう。
昔から。
考え込む時の癖を知っている。
ぷりっつが言う。
らぴすは少し黙った。
否定できない。
すると。
ばぁうが額を小突く。
真面目な声だった。
珍しく。
からかいもない。
らぴすが目を瞬く。
すると。
莉犬も頷いた。
笑っていた。
いつもの笑顔。
その顔を見ると。
少しだけ安心する。
翌日。
アビス襲来前日。
支部全体で最後の会議が行われた。
そして。
決まる。
最終作戦。
第一部隊。
第二部隊。
第三部隊。
計3部隊が前衛。
アビスの進行を止める。
第四部隊。
第五部隊。
第六部隊。
計3部隊が後衛。
アビスの攻撃を止める。
その間に。
第七部隊が核を狙う。
成功確率。
推定2割未満。
誰も笑わない。
だが。
誰も反対もしない。
他に方法がないのだから。
夜。
それぞれの家。
兄弟達は異変に気付いていた。
弟達の様子。
支部の慌ただしさ。
隠し切れていない緊張。
ロゼが言う。
らぴすとらいとは少し考えた。
そして。
嘘はつかなかった。
兄達が黙る。
兄弟全員、黙った。
しばらく黙って、口を開く
それだけだった。
他の家でも。
同じような会話が交わされていた。
言葉は違う。
でも。
意味は同じ。
帰ってきてほしい。
ただそれだけ。
深夜。
監視モニター。
アビスの現在地。
市街地まで。
残り数十キロ。
確実に近付いている。
止まらない。
逃げない。
まるで。
世界を壊すためだけに歩いているように。
そして。
運命の日が来る。








![[ 大型参加型 ] # 天空の賽子に全てを任せ 。](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/OdQY9PRCapcR2Vu3TgUF1zkHQ8k1/cover/01KZ8EZKDN00GBAXG82H0MX4N7_resized_240x340.jpg)




編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。