「やっと出会えた」
俺は目の前の事実を受け入れられなかった。
それもそうだ、なぜ夢の中で出会った少女がここに居るのか、そう俺が思考を巡らせていると。
「ちょっと!何か言ったらどう!」
とりあえず俺は冷静になり、本当にこの少女が夢の中で出会った少女なのか聞いてみることにした。
「1つ聞くが、お前は出会ったって言ったよな?だが、俺はお前と会った記憶はないんだが」
もちろん嘘だ。
「もう忘れたの!?まぁ、十年前の事だから忘れて当然か」
「私はあんたと十年前に約束をした、そして今、その約束を果たしに来たのよ!」
「じゃあ、その約束とやらの内容は?」
「必ずどこかで会える日がある。だから、忘れないで」
「私はあんたにこういったわ!」
これでハッキリした、俺の目の前に立っているのは、夢の中で出会った少女だと。
そう理解はしたが、納得が出来なかった。
確実にあの少女なのだが、夢で出会った少女がここにいるのか、こんな奇跡のような事が普通起きるのだろうか。さすがに非現実的だぞ!?
と、また思考を巡らせていると
「あんた、名前は?」
「え?」
「だから、名前を聞いてるの!」
「あっ!こういう時は自分から名前を言うんだった!」
「私の名前は夢見神久夜!」
「俺は、神崎月夜だ」
「月夜君!今日よろしくね!」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。