蒼羽の一言で、私たちのスマホをいじる手を止めた。
私と遥真は、蒼羽が照れくさそうに口にした一言に思わず反応した。
私たちはほぼ同時に顔を上げ、彼の言葉の真相を確かめようと蒼羽に近づいた。
現在、蒼羽に教えてもらっている私たちだが、1ミリも理解できておりません。
蒼羽に申し訳ない…
私は、勉強が理解できなさすぎて蒼羽にすがりついた。
まぁ、腰周りに抱きついてます。
遥真は床に寝転がって全身の力が抜けたかのようにぐでーっとしている。
なんか…スライム並みに溶けてるような…
蒼羽は私の手を剥がそうと、私の手首を掴んでめいっぱいの力を入れているようだ。
ピーンポーン…
ピーンポーン…
ガチャ…
私たちの家に勝手に入ってきたのは、最近再開したばかりの美琴と琴葉だった。
まぁ2人が混乱するのも無理はないだろう。
蒼羽に抱きついている私と、それを必死に剥がそうとしている蒼羽、そして床で溶けている遥真が居るから。
正にカオスですね←
私は蒼羽から離れ、お菓子を受け取って琴葉とハイタッチをした。
美琴は私と琴葉の間に入り、争い(?)をなだめた。
急遽、美琴と琴葉が参戦し、みんなで勉強会を開いた。
私と遥真と琴葉は、この中で頭の良い蒼羽と美琴に勉強を教えてもらっている。
美琴に教えてもらっている琴葉は、私たちよりも頭が良いのか、しっかり内容が理解出来ているようだ。
それに比べて、私は唸りながらワークと睨めっこし、遥真は脳がショートしてるような顔をしている。
私と遥真はだらんとしていた体を起こし、ペンを握った。
:
:
やる気スイッチが押されて数時間←
必死でやってなんとかワークを終わらせることが出来た。
私と遥真は完全にダウンし、机に突っ伏している。
2人はいつの間にかまとめた荷物を持ち、私たちの様子を伺っている。
蒼羽はワークを見てくれてる。
遥真は蒼羽を座らせ、後ろから抱きしめて肩に顔を埋めた。
私もモゾモゾと動き、前から蒼羽の腰周りに抱きついた。
パタンッ…
ーーおまけーー
2人をベッドに運ぶ蒼羽_。
ズルズル…
以上、蒼羽が苦労しまくってるお話でした(殴
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。