ワンダショのみんなに誘われた日の夜。
気がつくと私は、いつもの“独りぼっちのセカイ”に佇んでいた。
仄暗い光をたたえる、どこまでも静かな海。
そこにポツンと立つ赤い鳥居の根本で、和服姿のミクは、濃紺の袖を潮風に揺らしながらじっと私の話を聞いてくれていた。
私は水面に自分の顔が映るように、ぽつぽつと言葉を落としていく。
完璧じゃなければ、愛されない
声を失ったあの日から、私の心に深く突き刺さったままの棘が、今も痛む。
涙が足元の水面に落ちて、小さな波紋を広げた。
ミクは静かに水の上を歩き、私の目の前でそっと腰を落とした。
そして、私の凍えた手を、優しくて冷たい、けれどどこか温かい両手で包み込んでくれる。
ミクの問いかけに、あの日の記憶が鮮明に蘇る。
声が出ないままの女の子の手を引いて、旅の役者たちは楽しそうに笑っていた。
そして、類のセリフが、頭の中で再生される
ミクは、深海のような静かな瞳で、真っ直ぐに私を見つめた。
ミクはそっと手を離すと、海の向こうに立つ、一本の赤い鳥居を指差した。
潮風が、ミクのツインテールと和服の裾を大きく揺らす。
ミクの優しい微笑みに背中を押されるように
私の胸の奥で、カチリ、と小さなゼンマイが静かに動き出したような気がした。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。