第14話

もやもや
139
2024/07/21 06:54
その後、解散した皆は配布された教材を持って帰路に着く。
ベリアン・クライアン
お疲れ様です、主様
ベリアン・クライアン
お持ちしますよ
あなた
ありがとう
ベリアンとムーが馬車で迎えに来てくれた。
ムー
わぁ、主様そのお菓子とジュースどうしたんですか?
あなた
これはお友達に貰ったんだ
あなた
一緒に食べる?
ムー
いいんですか!
一緒に遊ぶことに必死になっていたクララの顔を思い出すと、どうしても食べる気にはなれなかった。
けど、だからといって捨ててしまう訳にもいかない。
ムー
フフフ、美味しいですね
あなた
…そうだね
それから数日、中庭でクララと遊ぶ日が続いた。
その都度、彼女は帰り際にお菓子とジュースを渡してきた。
あなた
はぁ……
あなた
(どうしたら良いんだろう…)
クララの必死なあの姿がずっと頭から離れない。
このままじゃ駄目だってことは分かっているのに、
ボスキ・アリーナス
どうしたんだ?主様
あなた
ボスキ…
 
あなた
……あのね、
あなたのお名前は勇気を出してボスキにクララのことを相談した。
毎回お菓子をくれること、それが一緒に遊ぶ為だということ。そして、そんなことしなくても自分は一緒に遊びたいと思っていること。対等に、友達になりたいという純粋な気持ちであることを。
ボスキ・アリーナス
…それ、本人には伝えたのか?
あなた
え……?
ボスキ・アリーナス
そういうことは、ちゃんと伝えねぇと分からねぇんだぞ
あなた
……!
ボスキ・アリーナス
主様は優しいから、直接本人には言いづらいと思うが、その"想い"は絶対伝えた方がいいと思うぜ
あなた
…うん……!
ボスキの言葉を聞いてやっと気付いた。
伝えないと。友達なんだから。
あなた
ありがとう、ボスキ
ボスキ・アリーナス
これくらいお安いご用だ
その日、あなたのお名前はクララから貰ったものに手をつけなかった。
そして翌日。
それらを持って、今日は入間と一緒に登校しようとサリバン邸にやって来た。
ボスキ・アリーナス
頑張ってこいよ、主様
あなた
うん…!
 
イルマ
あなたのお名前ちゃん…おはよう!
あなた
おはよう…!入間様
ボスキに背中を押されたあなたのお名前は、馬車の中で入間に打ち明ける。"似た者同士"な入間なら同じことを考えているかもしれない、と思ったからだ。
イルマ
…そうだよね、物のやりとりで仲良くするなんて。僕もずっと考えてたんだ
あなた
入間様……!
予想通り、入間もあなたのお名前のように、昨日クララから貰ったジュースを手に持ってきていた。
イルマ
…よし、クララとちゃんと話してみよう!
2人はいつものように、中庭でクララを待つ。
ウァラク・クララ
ドーンッ!!
ウァラク・クララ
あっははは!命中!
来た。
イルマ
クラ…
ウァラク・クララ
あのねーこれねー私の好きなお菓子!あとジュースと本とーぬいぐるみもあるよ!
あなた
あの、クララ……
ウァラク・クララ
全部あげる!
ウァラク・クララ
入間ちとあなたのあだ名が欲しい物、なーんでも出すよ!
クララは2人の気持ちを悟っているのか、何度も話を遮る。そしてたくさんお菓子やジュースを手に乗せた。
ウァラク・クララ
だからねっ!だから…また、私と一緒に…
ウァラク・クララ
遊ん…
イルマ
いっ、いらない
あなた
いらないよ
堪えきれず、ほぼ同時に言い放った。
ウァラク・クララ
………!
ウァラク・クララ
あっ、このおかし嫌い?なら
あなた
違うよ
あなた
ごめんクララ、私…
ウァラク・クララ
う"
ウァラク・クララ
う"あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ" あ"!!
全てを伝えきる前に、クララは大粒の涙を流して、子供のように泣きじゃくった。
イルマ
ちょっ、クララ
ウァラク・クララ
まだだッ、い"づもそう!
呆れられて、もう遊んで貰えない!!
あなた
ちがっ、そうじゃなくて…
ウァラク・クララ
いっ、いらないって言った!!
イルマ
聞いて…
ウァラク・クララ
じゃあだめじゃん!
ウァラク・クララ
私、馬鹿だからねっ、遊んでもらうには何かあげなきゃだめなのッ、迷惑料なのッ!!
クララ……
イルマ
そんな物なくたって、僕は君と一緒に遊びたいよ!
ウァラク・クララ
………!!

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