第19話

2kim 3
242
2023/08/12 20:00
ミンジュ
ミンジュ
オンニ。





じっ…くりと日記を読んでいたら、ミンジュ…の声で現在へと意識を引き戻される。




チェウォン
チェウォン
!ミンジュ、
ミンジュ
ミンジュ
はい、ミンジュです。





にこにこしながら答えてるけど、いや、そうじゃなくて。




チェウォン
チェウォン
そうじゃなくて…どうしたの?
ミンジュ
ミンジュ
あぁ、お読みになっている最中申し訳ないです。朝ごはんができたので。





ご飯。

デンジャンチゲ。

と、おかずが少々。
ずらっとテーブルの上に並べられる。




チェウォン
チェウォン
…ありがとう。





きっと、毎回同じようなやり取りなのだろうな。

これから始まる1日も、彼女にとってはループしているようなもの。それを毎日しても、私だけが初見になる。

なんて迷惑な奴だ。結局は私が生きているだけで彼女を困らせているのではないのか。




チェウォン
チェウォン
ねえ、
ミンジュ
ミンジュ
はい?
チェウォン
チェウォン
虚しくならないの。
ミンジュ
ミンジュ
ならないですね。





にこっ、と微笑んでみせた彼女。




チェウォン
チェウォン
毎日、同じ会話なんて嫌でしょう。変わらない毎日なんて、そんな。
ミンジュ
ミンジュ
まさか。思ったこともありませんよ。





悠長に答えてみせた彼女。




チェウォン
チェウォン
私の世話も、いつまで続けるつもり?
ミンジュ
ミンジュ
一生、ですね。来世でもまたするかもしれません。





どこか、自信満々に答えてみせた、彼女。




やめろ、やめてくれ。
君には幸せでいてほしいんだ。

“私”にとっては初対面なはずなのに、何故かそう思った。




チェウォン
チェウォン
辛くないの。





嗚呼、今までの会話も、この会話も、毎日繰り返しているんだろうな。

それをまた今日だけでない過去の私も、いままでずっとそう感じる毎日。




ミンジュ
ミンジュ
むしろ幸せです。毎日オンニといて、沢山お話もできますから。





その答えも、今まで数え切れないほど口にしたのだろう。




ミンジュ
ミンジュ
これも、オンニとの思い出になるんです。だから飽きたりはしませんよ。





嫌な顔ひとつせず質問に答える女。
それを眺めながら、怒りというか、悲しみというか、とても複雑な感情が私の心臓を灼く。




ミンジュ
ミンジュ
あ、そうだ。ケーキ。今日オンニの誕生日なので、ケーキを作っておいたんです。





誕生日。ケーキ。




ミンジュ
ミンジュ
ちょっと待ってくださいね。







2023年8月1日
きっと、私と彼女はこの先ずっと、2人だけで生きていくのだ。
そう、ふたりきりの地獄。
私にとっては、天国のような地獄である。




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