敦くんside
僕には、同い年の女の子の友達がいた。
あの子が孤児院に入ってきたのは僕と同じ赤ちゃんの頃だって院長先生が言ってた。
あんまり会う機会は無かったけど、僕が6歳の時ある日その子は僕の前で突然倒れた。
僕は泣きながら院長先生に助けを求めた。
それから次の日、あの子は目を覚ました。
僕はその子が大丈夫なことに安心して、自己紹介をした。
名前は「鈴原あなた」ちゃんと言うらしい。
あなたちゃんは不思議な子だった。僕が院長先生に叩かれて泣いていた時に「おいで」って抱きしめてくれて、うたを歌ってくれた。
あなたちゃんの歌は、どこか温かかった。
僕はそれを聞いてから、あなたちゃんのもとに行くようになった。
あなたちゃんは、僕が読んだ本のお話に出てくる「女神の歌い手」みたいだった。
だってあなたちゃんも歌で僕のこと助けてくれたから。
そしていつもあなたちゃんに助けられてたんだけど
5年後、あなたちゃんは孤児院を出ていったと院長先生に聞かされた。
どうして···?
僕がいつも助けられてばかりだったから、嫌いになったの···?
そう僕は思い込んだけど、
院長先生にあなたちゃんが書いた手紙を渡された。
手紙の内容は、
敦くんへ
何も言わず孤児院を出ていったこと、ごめんね。
でも、敦くんが嫌いだからじゃない。
私は、自分が持ってる力で誰かを助けたいと思って、外の世界へ出たんだ。
だから、君が18歳になったらまた会えるよ。
それまで、私のこと忘れずにいてくれるかな?
じゃあ元気でね。
友達のあなたより
18歳になったら、か···
あなたちゃんが僕を助けてくれたみたいに













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。