第4話

風の詩人とリドル.1
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2023/05/26 06:49
風とほのかなりんごの匂いと共にライアーと詩の歌声が聞こえてくる。

ここはハーツラビュル寮の庭だ。
ウェンティ
ウェンティ
風と共に流れるのは詩と自由、あとりんご酒の匂いが良いってキミも思わない?
ライアーを奏でながらウェンティは木の下にいる少年に声をかける
リドル
ウェンティ.....キミはハーツラビュル寮生じゃないだろう!
ウェンティ
ウェンティ
あははっ、だってここは心地がいいんだ〜
「そういう問題じゃないっ!」とリドルはウェンティを見上げながら怒る。

ウェンティはハーツラビュル寮の庭を気に入っているようだ。景色が好きなのか人が好きなのか、ただよってくるお菓子の匂いが好きなのか_

気に入っている理由は分からないが、ほとんどの人は皆が口を揃えて、

「彼は自由だから仕方ない」

と言う。が、ハーツラビュル寮長、リドル・ローズハートは規律ルールが体を持ったような人物だ。リドルはウェンティの自由を良く思わない。

そのためウェンティとリドルの言い合いは今では日常茶飯事となった。
ウェンティ
ウェンティ
んー、今日もキミが元気そうで良かったよ。じゃあね!
リドル
ま、待て!まだ話は終わってな....ウェンティ!!
ウェンティは風のような人物だ。風のように穏やかで、逃げ足がとても速くすぐ消えてしまう。
毎日のように繰り広げられるリドルの一方的な喧嘩は、毎回ウェンティに逃げられて終わる。
トレイ
はは、今日も元気だな
リドル
トレイ...見てたのかい?
トレイ
見るも何も、面白いからな
リドル
はぁ、こっちは全然面白くないよ....
「喧嘩」とは言ったものだが、トレイをはじめ寮生は誰も喧嘩を止めようとしない。

リドルとウェンティの喧嘩は寮生達から見たら夫婦喧嘩や親子喧嘩のようなものである。


_お互いをわかった上で喧嘩している


と寮生達は思っている。もちろんトレイやケイト達もだ。
リドルとウェンティは特段仲がいいわけでも無いし、一緒に居る歴が長いわけでもない。ましてや家族でも無い。

でも彼らはお互いが嫌いでは無いのだ。
トレイ
はは、楽しそうで何よりだな
リドル
楽しくなんかない!
口ではこう言っているがトレイは知っている。
ウェンティと話している時のリドルに笑みはないが、とても楽しそうな雰囲気がただよっている事を。
トレイ
まぁ、リドルにも良い風が吹いたって事だな
リドル
全然良い風なんかじゃない、この前だって....
トレイ
はいはい、その話はもう聞いたさ

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