第23話

告白の先
705
2022/06/20 12:53




自覚した時にはもう遅かった。





1度自分の中で溢れ出した気持ちは、すぐに言の葉となって自分の口から紡がれていて、目の前の想い人は、口をへの字にして呆然としていた。





切島鋭児郎
は?
あなた
いや、その...
切島鋭児郎
好きに、なってくれたのか?



その言い方は、まるで。




私が好きになるのを望んでいたかのようで






ねえ、そんな言い方しないでよ。





私、自惚れちゃうよ?












ねえ、切島。






あなた
ご、めん...
切島鋭児郎
俺も...すきだ。
あなた
...は?




今度は私の番だった。




切島を信じられないわけじゃない。







だけど、この歳にもなってろくに恋愛などをして来なかったせいか。わたしは目の前に起こっている現実を消化することが出来なかった。
私が...切島が好き、そう言った。そして、切島もまた。私を...好きだと、そういったのだ。




切島鋭児郎
え?
あなた
あ、えっと...!



そのあとはもう、どうやって帰ったのかも覚えてない。
ただ、なんだか夢見心地で。
切島にすきだ、と言われた余韻に酔っているのか、それとも少量を口にしたお酒のせいなのか。
頭がクラクラして、切島の目を見ることも出来なくて。




最後、切島がどんな顔をしていたか、どんな話をしたか、どんな風に別れたのかとか。何も、覚えていなかった。





轟焦凍
お。今日は思ったより早かったな
あなた
...。
轟焦凍
あなた?大丈夫か?
あなた
え?いや、あ、うん!
轟焦凍
さっさと風呂入れよ。
もう遅いぞ。




気づいたら家にいて。




ただ呆然と、言われるがまま。
お風呂へ入った。





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