私あなたは、28才独身のOLである。
周囲は結婚ラッシュだったが、
その波にも乗れずに彼氏いない歴は28年の記録更新中。
仕事以外は趣味のゲーム三昧で、
気がつけば椅子に座ったまま寝てたりと、
生活はボロボロだった。
時折り、モニター画面に映る自分の姿を見て、
思わず笑ってしまう程の姿だった。
自分の頬を触りながら、小さな吹出物を発見する。
この歳になると、ニキビとは言わないらしい。
そんな独り言をブツブツと呟きながら、
あなたは洗面所に向かう。
洗面所の鏡の前に立ち、
肩下まで伸ばした黒髪を後ろで束ねる。
そう、私はここ1年ほど、
手入れが面倒くさいのを我慢して、髪の毛を伸ばしていたのだった。
そして現在、
パソコンのモニター画面に映る自分の姿を見て、驚きで声を失っていた。
そう、確かに昨日まであったはずの長い髪の感覚が今は全くもって感じない。
あなたは慌てて洗面所に走って、
自分の顔を確認する。
あなたは鏡の映る自分の姿を見て、思わず絶句する。
そこには少年の様に髪が短くなってしまった自分が居て、しかも髪の色は金髪になっていた。
両手で髪を掴みながら、鏡を直視していると
何かまた他の違和感を感じた。
長年、怖くて開けられなかったはずの
ピアスが何故か両耳についていた。
何かがおかしい…。
こんなにも覚えて無い事があるのだろうか。
あなたは部屋に戻って、モニター前の椅子に座り込む。
目を瞑りながら、椅子をぐるぐると回してみる。
壁にかかっていた、カレンダーを見て思わず声をあげる。
そのカレンダーは1月の表示のままであった。
そして、机の上に飾ってあった、
卓上カレンダーも1月表示になっていた。
あれ?
さっき携帯見た時は、5月だったよね?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!