第3話

third.
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2018/03/24 09:14 更新
意味がわからない。
なんで、話しかけてきたの?
呼び出してきたの?
もう別れてるのに。

伊月には、気まずいとかないのかな...?
それぐらい、適当に付き合ってたの...?

それとも...もしかして、もしかしてだけど、
ヨリを戻したいってことなのかな....
いや!こんなこと絶対期待したらだめだ!後で傷つくから!!

必死で甘い考えを振り払う。
いろんなことを考えるけど、わかるはずもなく、時間だけがすぎてく。
あっという間に放課後になって、部活も終わって、約束の時間がきた。
何を言われるか全く想像できない不安と、振り払いきれなかった微かな期待を持って、教室のドアを開ける。
夕日が差して、赤く染まった教室。
窓際に立ってる伊月の、さらさらの髪が光っている。影になってるから、顔は見えない。
ああこれは
ずいぶん前に、伊月が私に告白した時と全く一緒だ。
期待しちゃいけない。そんなのわかってる。
それでも、胸がドキドキする。
伊月
あ、河合さん
2回目の河合さん呼び。
やっぱり少し傷つく。
美宇
で、何?
なるべく感情を表情に出さないように、答える。
伊月
そんな遠くじゃ話しにくいから、こっちまで来て
伊月が手招きする。
確かに、私がいるのは入口で、伊月は窓際にいるから、話すのには遠すぎる。
躊躇いもあったけど、意を決して伊月のいる窓際まで近づいた。
伊月
えっと...今日呼んだのは話があって...
別れた相手に言うような話って本当に想像がつかない。
聞くのが怖い。
美宇
う、うん
少しの沈黙。
そして、伊月が口を開いた。
伊月
河合さんのことが好きです
俺と、付き合ってくれる?











その言葉は、あの時と全く一緒で。
なんで、別れたのに...
告白されてるの!?















美宇
別れたのに...?
伊月
別れたって...?
え、俺告白してるんだけど...
昨日の先生の話が頭をよぎる。
もしかして....記憶の混乱?
美宇
1個だけ聞いていい?
今まで私のこと河合さん以外で呼んだことある?
キョトンとした顔の伊月。
伊月
河合さん以外って...そんなのないけど
ああ...伊月は私と付き合ってたこと忘れてしまってるんだ。
美宇
私のこと、好きなの....?
伊月
好きじゃないと、告白しない
ちょっと怒ったように言う伊月。
美宇
本当に...?
伊月
本当だって
ちょっとだけ、ドッキリとかかと思ったけど、伊月の表情は真剣そのもの。
初めて告白されたあの時と一緒で。
伊月
...なんで泣いてんの?
気づいたら、頬を温かいものが伝っていた。
付き合ってた期間の最後ほうの冷えきった関係や、別れた時の辛さ。
それを経験してる私にとって、
伊月からの好きって言葉は本当に本当に嬉しくて。
たとえ伊月がすべてを忘れてしまってるとしても。
美宇
ううん、気にしないで
伊月
それで...返事を聞きたいんだけど....
そんなの、決まってる
美宇
私も、伊月のこと好きだよ!
伊月
!
じゃあ...これから、よろしくな
美宇
うん!
いつになるかわからないけど、伊月が本当のことを思い出すまでは、私にそばにいさせて欲しい。それまで、後悔のないように過ごすんだ。

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