夢の世界から無理やり引き戻されて、俺は突っ伏してた顔を慌ててあげる。
横では起こした張本人であるチャニが、あまりの俺の勢いにびっくりして椅子から落ちそうになっていた。
しょうがない、ジナの無茶な申し出で、この3日間ほとんど寝てない。
俺だって仕事あんだよ!とチャンビニヒョンに怒られながら、何とかデモまで仕上げた。
昼食のサンドイッチを無理やり口の中に放り込む。
昼休み、出来上がったデモテープをジナに聴かせる約束をしてる。
頬っぺたをパンパンにして、教室を飛び出す俺を、チャニが呆れた顔で見送っていた。
デモテープを聴かせると、ジナがムッとしたように仁王立ちになる。
上背もあるので威圧感が半端ない。
俺の言葉にジナがぐっと言葉を詰まらせる。
その顔は悔しさを隠しきれてない。
やめろよ、そういうこと言うの。
コイツは、見た目によらず、負けず嫌いで、天然でこう言うことを言っちゃう奴だってこと、短い付き合いだが何となくわかってきた。
はぁ、とため息つきながら立ち上がる。
この前のゴリゴリの趣味に走った楽曲と違い、今回はポップさも取り入れてみた。
その間に挟むラップとダンスブレイクを合わせたら、十分完成度の高いものになると見込んでる。
それには俺の楽曲だけじゃ、完成しない。
ジナのポテンシャルと、長い手脚を使ったダンスがないと。
肩口をポンポン叩いて、ジナを宥める。
別のトラックに、歌い方指導とか、仮歌入れたのも入ってるから家でも練習してこい、と伝える。
急に素直になるのやめてくんないかな、可愛いって思っちゃうから。
そう思わせといて、お前それが天然だから、しんどいな。
俺、リクス派だったのになー…。
俺には学園恋愛ドラマはまだ早すぎるから、スポ根漫画に切り替える。
ジナもそんな俺に気付いてか、気付かないでか、はいっ!!と威勢よく返事した。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!